昨日に続き4時から起きてみています。内容と感想の続きです。ネタバレですが、これは再放送、しかもNHKプラスでもあと少々で終了ですので、ネタバレもよしとします。
少しでも多くの人に知ってもらいたいと思うからです。1~4回まではもう見ることができません。
第5回 「14歳の妊娠」
ユーモラスなつくりの中に、人間の温かさが感じられる傑作です。この作品は、医業のあり方まで問うています。
産科医・由比(この医院の医師)は、9年前、14歳の中学生の妊娠に遭遇します。その時彼は、大学病院の医師です。由比は、教授や多くの医師と違い「妊産婦にできるだけ寄り添う医師」を目指します。由比は、母子の人生までかかわりたいと思う医師です。
しかし、教授は言います。「一人の患者に多くの時間を費やすのは良くない。短い時間で相手をすればそれだけ、君の診察を受けられる人が多くなる。その方が医師として社会に貢献できる」と。
どちらだろう、これは難しい。由比は、自分の方針で開業します。由比が信頼する看護婦も婦長として、由比先生の開業についてきます。由比先生の方針に全面的には賛成してませんけどもついていきます。婦長は、「出産した女性のその後の人生にまでかかわるなんてムリ」と思ってます。
話を中絶に戻します。
母親・父親は勿論、仲間の医師は、14歳の中絶に賛成します。由比医師の教授も多分そうです。由比は、迷います。どちらかと言えば中絶の方向が正しいと思っているようです。そうですよね、14歳なんですもの。
ところが、この女性は、中絶を拒絶します。この女性は言います。
「お母さんは言うでしょ、一生懸命勉強して仕事を得て、愛し合って結婚して家庭を作るのよって。・・・私結婚するの、なお(男の名)さんと」
そうだ、この女性は、親世代の言う、幸せな道を歩んでいるんだ。
しかし、明らかに男に騙されているのも明白。
父親は言います。「お前は騙されている、捨てられたんだ」
でもこの女性は、「赤ちゃんは殺された方が幸せだっていうの」、強烈な言葉である。
うーん、困った。
結局この女性は子供を産みます。母親が出産を認めるんです。それは、この娘の自立のためです。母親は、「分かった。それだけ言うなら産みなさい」。母親は、娘の経済的支援のため、パートの時間を増やします。そして、過労死してしまいます。
9年後、14歳で子を産んだ女性は立派な会社員となって、息子と一緒に由比先生を訪れます。
産婦マーちゃんを死なせた(第4回)由比先生は、「できる限り妊産婦を見る」という方針に自信を失っていました。教授の言う通り、分娩は総合病院ですべきかなとも思っています。
母子が帰った夜、婦長は言います。「私は、先生に開業時に来てくれないかと言われたとき、まったく迷いませんでした。それは正しかった。先生のようにやっていると、今日のようなうれしい日もあるんですもの」
由比先生「迷ってしまってごめん」
第6回 「いつか望んだとき」
主人公は、二人の女性です。
1人は、18歳の不良少女風の女性はるみ。この子は、中絶2回目。お金がないので、3万円で堕胎をしてくれる医者の所に行く。丘の上のへき地みたいなところだ。偶然からアオイは、この子の付きそい人になる。医師は、奥さんと二人で開業(但し看板も出してない)している。この医師は、無責任な妊娠は悪いなんて説教がましいことは、何も言わない。
医師の夫婦は、付き添いのアオイにもはるみにも優しい。「おにぎり食べろ、どら焼き食べろ」という。手術の終わったはるみを布団に寝かせて「寝たいだけ寝かせておけ」
という。帰りには、お金のないはるみに、バス代と言って小遣いをくれる。医師の奥さんは言う。「ほんとはお金なんて取りたくないけど、それって違法と言われるからね」
そして別れ際にいう。
「何かあったらまたおいで」!!
アオイは医師に聞く。「そんな安い費用で、しかも事情を聴かないで手術するなんて、同意書もなく手術するなんて、気軽に中絶する人が増えるじゃないですか」
医師は言う。「あの手術代台に登って掻把する。も一度やりたいと思う人いるかい」
奥様が言う。「もっと女の人が生きやすい世の中になればいいのに」
そうなんだ、中絶する人にはやむに已まれぬ事情がある。女性が生きにくい社会がある。
このはるみの場合、母親との仲たがいがあり、男にひどい事されてボロボロになった自分を汚いものを見るような目で母親は見たという。
はるみは言う「またおいでなんて言われると、絶対こないと思うんだけどね」。
番組のおしまいの方で、この医師の夫妻の行動の事情が明かされる。
<回想シーン>
ハンケチを忘れた女子高校生は、それを彼女に返そうと医師が医院を出た時、がけから飛び降りた。
医師は言う。「あの時事情も聴かず、説教もせず、中絶手術してやればよかった。きれいにして帰せば、死ぬことはなかった」
2人は、ハンケチを台において、線香をあげている。
奥様、「あれからもう20年ですよ」
この医師夫妻が、この話の主人公かな。
も一人は、お腹の中の赤ちゃんがそだってないあきさん。夫と二人で、中絶の相談に来た。
あきは言う。「私、離婚しようかな。やっとできた赤ちゃんなのに、この人は、
俺の子かい、という。姑に子供を作れとさんざん言われて、やっとできた赤ちゃんなのに、そして育ってない赤ちゃん、もう耐えられない」
実は、この夫は、精子が少ない体質で、子ができにくい。だから夫は、できたので、「俺の子かな」と言ったわけだ。
離婚届を持ってきた夫は、「あきは頑張ってる。俺はあきを幸せにできない。だから男がいても仕方ないと思った。もう、あきを自由にした方がいいかな」という。
ここには、双方の誤解がある。
子供をつくらなきゃというプレッシャーが誤解を生んだと思う。
子どもを持つかどうかなんて各人の自由だ。結婚するかなんてのも各人の自由だ。その結果少子化社会・少子高齢化社会になってもしょうがない、と俺は思う。
この第6回は、現代日本の何かを告発しているように思う。
上に紹介した以外でも、登場人物は、心に響く言葉を残している。
望月看護婦「女だから産まなきゃじゃなくて、産みたいな、だよね」
はるみ「私も馬鹿だけどさ、赤ちゃんも馬鹿だよね。産めない私のところに来ないで、産める人のところにくればいいのにさ」
アオイ「中絶される赤ちゃんも、何かメッセージを残してるようにおもう」
由比医師「中絶手術は、いつか望んだとき出産できるようにするためのものと考えています。中絶も分娩もどちらも新しい命を迎える仕事と考えています。」
ずいぶん長くなりました。私の頭も混乱しました。7回と8回は、次に回します。この二つは、NHK+から今日消えます。