鮭の死

今年わが町では、鮭が大量に登ってきました。いや、例年通りの数が登ってきたのでしょうが、下流で梁をかけなかったので数多く登ってきたのです。

梁をかけなかったのは、原発事故のせいです。放射能汚染が心配され、風評被害が心配され、鮭をとらなかったのです。



川の中には、数多くの鮭の死骸があります。もう白っぽくなって形がかなり崩れた鮭も見えます。産卵を終え、自分の使命を果たしたわけです。そして、鳥たちに体を提供し、川の中に栄養を提供し、プランクトンを育てます。そのプランクトンを鮭の子供たちが食べて育ちます。命のつながりを感じます。


川の中には鯉がゆうゆう泳いでいます。心なしか随分太っているように見えます。きっと
鮭の卵を食べたんだと思いました。


ボロボロの小さな鮭が泳いできました。たった1匹です。君は、生存競争にはなんとか勝って生き延びたけれど、その後成長過程では負けて大きくなれなかったのかい。


同性もいない。異性もいない。たった一人ぽっち。いつまで生きていくんだろう。


さびしいね。