太陽光発電で環境破壊?(相馬市玉野に大規模太陽光発電所)(後編)

私は、6月22日片平さんに会いに、軽トラでできたばかりの高速道路を登っていきました。
約束の場所(高速を降りたところのバス停留所)で待ってますと、ぴったり1時30分片平さんは、やってきました。

高速道路建設現場です。福島・相馬間の高速道路です。この地点で、相馬市内から20キロくらいでしょうか。

片平さんに230ヘクタールってどのくらいの大きさか知りたいと申しますと、全貌を見るのは無理、ヘリコプターでないと無理と言われました。

そこで、できるだけ見えるところに案内してもらいました。まず初めにメガソーラー発電所予定地の山地を反対側から見せてもらいました。


上と下の写真に共通の建物が見えるでしょうか。この空色の建物は、巨大な鶏舎です。この鶏舎の奥に見える山並みが、メガソーラー予定地です。手前の草地も予定地です。頭の中でこの上下の写真をつなげて想像して下さい。この上下の写真二枚で発電基地のわずか8分の1だそうです。

その後、この山の裾野を、メガソーラー基地予定地を、東から西に(写真では、右から左)に案内してもらいました。


東端です。かつてのゴルフ場建設事務所の廃墟です。約30年前、下流での水質汚濁などが心配され、反対運動も起きました。そのうちバブルがはじけて計画は、なくなってしまいました。


片平さんが借りて作った採草場(乳牛の飼料)です。この奥の山並みにメガソーラー基地が作られる予定で、片平さんは、メガソーラー基地に反対するため、この採草地を作ったのだそうです。片平さんは、かつてのゴルフ場建設反対の中心人物の一人でした。


小規模な土砂崩れです。小さな林道を作っただけで表土が流れ出します。


この土砂崩れの写真のすぐ上の道路です。230ヘクタールの樹木と表土をはがしたらどのようになるか、水がどこに流れるか、まったくわからないと、片平さんは言います。写真がまずくて、分かりにくくてすみません。


片平さんの隣の(と言っても数百メートル離れているかな?)農家で見た風景です。イノシシが袋を破りました。230ヘクタールのうち山林は80%くらいでしょうか。広大な山林に住むイノシシ・サル・カモシカ、その他の動物が住処を奪われ、里村に降りてくると、その被害はいかほどか?人間とのトラブルはどのくらい多く発生するか、恐ろしい気がします。

片平さんの牧場を見た後、開発予定地の西の方に行きました。

このメガソーラー基地を作る会社の現地事務所です。廃屋を借り上げたものだそうです。誰もいませんでした。片平さんの話によると、環境影響調査と言って1年間1名が常駐で調べたのだそうですが、
調査らしい調査はしてなかったそうです。


開発予定地の西端です。向こうに見える山も手前の田畑も開発予定地です。ここまで東端から、3.5キロメートルです。230ヘクタールとは、どのくらいの大きさか?福島民友新聞の6月23日の記事を借用して、比べてみましょう。相馬市磯部に完成したメガソーラー基地です。

東北最大級という字が見えます。
右が太平洋です。波けしブロックが見えます。左が松川浦です。松川浦には、磯部の漁港が見えます。散見できる家や道路と比べると大きさが想像できるでしょうか。これで、70ヘクタールの規模の規模です。玉野のメガソーラー基地は、この3倍です。


相馬市郊外の丘に作られた、とある施設です。草はほとんど見えません。玉野のメガソーラー基地会社の「草刈りなどの雇用を生む」というのは、ですね。

上の施設を別角度から見たものです。山林を造成して作ったことがわかります。

上の写真を撮った反対側を見るとこのようなものがあります。イノシシの罠です。数年前、この場所でイノシシ狩りをしているのを見ました。田畑が荒らされるのです。宅地開発の影響もありますが、この太陽光パネル設置も大きいでしょう。住処を奪われた動物たちと人間のトラブル。玉野のメガソーラー基地では、230ヘクタールの規模でのトラブルです。

パネルは全く保水力はありません。その設置される地面も保水力は、ありません。降った雨はそのまま流れます。土砂崩れは起きないのか?一時間降水量1ミリというのは、1平方メートルに1リットルの水量です。1ヘクタールは、100平方メートル。1ヘクタールで100リットル。200ヘクタールで、万リットル。時間20ミリの雨となれば、40万リットル。樹木草地の保水力とはどのくらいか。これまでと比べて、どのくらいこの雨水が短時間に流れ込むのか。この水は、最終的には、相馬市を貫流する宇多川に流れ込む。勿論ほかに降った雨水も流れ込む。宇多川は、飲み切れるのか、洪水にならないのか。
専門家の調査がぜひ必要です。

こんな大規模開発に規制はないのか?
片平さんに資料を見せられてびっくりしました。太陽光発電の開発は、規制が極めて緩やかなのです
◎砂防法
◎地すべり防止法
◎自然環境保護
◎景観条例  等

これらは、風力発電には適用される法令ですが、太陽光発電にはなんと、適用されないのです。(自分でネット検索してみましたが、各種再生可能エネルギーと適用法令の表は見つけられませんでした。ただ太陽光発電に適用される法令に、上の法令がないことは確認できました。)
太陽光発電は、屋根への設置くらいしか想定されてなかったのではないかと思います。太陽光発電の大規模開発に対する法令の不備です。行政の不作為です。大至急規制する必要があると思います。全国的な問題だと思います。

今回の現地案内で、別な問題も知りました。

(この鉄塔の左側、西側といったいいのかな、ここがメガソーラー基地予定地です。)
この茶褐色の土なんだと思いますか。鶏糞です。(白っぽいのは、原発汚染で出た汚染土の仮置き場です)
玉野地区には、巨大な養鶏場が数か所あります。一つの会社が経営しています。会社は、この土地に鶏糞を捨て、ユンボで土と混ぜ合わせますが、肥料分が強すぎ、畑にはならないそうです。どのくらいの広さかはわかりませんが、かなり広いです。ここも陽光発電の基地予定地です。ここには外来種の雑草が生えています。輸入飼料に混ざった種の雑草とのことです。生態系は大丈夫か?ここは小高い丘です。傾斜地です。雨が降って保水力がないとどうなるか、鶏糞が下に流れます。下には小川が流れています。相馬市内を貫流する宇多川の支流です。片平さんは、相馬市役所の環境保全課に言ったそうなのですが、反応がないそうです。

なんとかしなければと思いつつ、自宅に帰ってきました。