ひさしぶりに「男はつらいよ」を見ました。
1970年の「新・男はつらいよ」です。多分シリーズ4作目です。監督が山田洋次ではなく別な人で、初めのテーマ曲の歌詞も違うものでした。その辺りの事情はわかりません。
筋立ては、いつもと 同じ寅の失恋におわる物語です。後半の「寅」映画にくらべて、恋の滋味は薄いかなあ。どたばた喜劇という雰囲気が強いと感じました。あはは、あははと笑って終わる映画です。
ヒロインは、栗原小巻です。このころなんでしょうか、大学の寮の仲間が、「小巻の胸、見てきたぞ」なんて言っていました。映画の話です。その映画は、多分「忍ぶ川」。
その頃私は映画なんぞは殆ど見ませんでした。たまに見るのは、安い名画だけでした。もちろん「寅」映画なんぞは、まったく見ませんでした。興味もまったくありませんでした。
映画は、その時の社会・風俗のタイムカプセルですねえ。大人の女性のひざ上のミニスカート、印刷工場の若い行員、ギター伴奏でみんなで歌う、印刷工の「人権侵害だ」という叫び。寅の「労働者諸君」、蛍光灯に黒布をかぶせて、「戦争中を思い出すなあ」。
1970年、「寅」は庶民に人気のある映画だったのでしょう。全共闘の皆さんは、民青の皆さんは、政治に関心のなかった学生は、
「寅」映画にどんな対応をしたのでしょうか。まあ、個人によって違うでしょうが。
あの頃の若者も多くは還暦を過ぎたでしょう。社会も人も変わりました。
映画の中には、1970年の自然・社会・風俗・人・思いが、そのまま残っています。