現在政府・自民党は、現在の周辺事態法を超えて自衛隊の活動を拡大しようとしている。
私は、これは他国の戦争に日本を巻き込む可能性の方が高いので、自衛隊の活動を拡大すべきでないと思うのである。
脳みそが混乱するので、現在の周辺事態法で考えてみる。
現在の周辺事態法は、（１）日本周辺の公海上で、（２）物資輸送など武力行使に該当しない範囲で、（３）戦っている米軍を支援するというものである。その目的は、「そのままに放置しておくと・・日本の平和と安全に重要な影響を与える」からである。
戦う米軍を日本が公海上で後方支援すれば、米国の敵国にとっては、日本が敵となる。当然敵は、「後方」で物資輸送をする民間船または自衛艦を攻撃する。必然的に自衛隊は反撃する（武力行使をする。個別的自衛権発動）。日本は戦争に参加する。戦争に巻き込まれる。
敵は、日本国内の米軍基地・自衛隊基地、あるいは、原発・工業地帯をミサイル攻撃する。ミサイルは、全てを撃ち落とすことは不可能である。敵は、テロを行う可能性もある。戦争の惨禍が再現する。
つまり周辺事態法は、米国の戦争に日本を巻き込むものである。
日本の平和と安全のためには、「自国領域を攻撃された場合のみ自衛隊が反撃する、他国の戦争には中立」を宣言すればいい。これは日米同盟違反だと考えるなら、あるいは米国がそれは許さぬと言うなら、日米同盟（日米安保条約）を廃棄すべきである。
上の意見に有力な反論の一つは、「周辺事態法は、敵国の武力攻撃を抑止する効果を増し、戦争を抑止する」と言う理屈であろう。これは、戦う米軍を日本が応援すればますます強くなると言うことだ。しかし、日本の応援がなくとも世界最強の米国に闘いを挑む国家は想像しにくい。抑止力は米軍だけで十分だ。故に周辺事態法は抑止力の点からは、不要の法律である。
次に有力な反論は、日本が「後方でも支援しなければ米国が日本を守ってくれないのじゃないか」と言う論だろう。もし米国が守らないならそれは安保条約違反である。「米国は日本に基地を置かせてもらう代わりに日本を守る義務を負う」と言うのが安保条約の契約である。周辺事態法の成立する以前（１９９９年）は、日本の守らなかったのか？もし米国が守らないなら、安保条約を解消して自衛隊で日本国領域内を守るべきである。
次に有力な反論は、日本は、米国の若者の（兵士の）血で日本の平和と安全を守ってもらっている。それだけでいいのか？何か手助けしなければいけないんじゃないか？せめて後方で支援だけでもする必要があるんじゃないかと言う議論である。
米国の戦後の戦争は、日本の平和と安全に役立ったろうか？米国の主要な戦争＝朝鮮戦争・ベトナム戦争・湾岸戦争・アフガン戦争・イラク戦争を考えてみると、これらは、米国の利益のための戦争、または米国の行為の結果の戦争であり、日本の平和と安全のための戦争と言えない。仮に北朝鮮が韓国を併合しても（仮定）ベトナムで共産主義政権が勝利しても（事実）日本の安全と平和に関係はなかった。イラクがクエートを併合しても（湾岸戦争がなかったと仮定）日本の平和と安全に関係はなかったろう。イラクは、自国の利益のため石油を売るはずである。アフガン戦争・イラク戦争は、米国の行為（テロを誘発した）の結果の戦争、または石油利権獲得目的の戦争である。日本の平和と安全に関係なかった。タリバンが支配してもサダム・フセインが支配していても日本の平和と安全に影響はなかった。
米国は、自国の利益のため、自国の行為の結果、自国の兵士の血を流しているのだ。何も米国の利益のため、日本の若者の血を流す必要はない。何も米国の利益のため日本国民が血を流す必要はない。
次に有力な反論は、「世界の正義のため（たとえばテロ撲滅）、世界の平和と安定のため、何か日本もしなくちゃいけないのじゃないか」という反論である。世界の正義とは何であろうか。そんなものはあるのか。テロの側にも言い分はあるんじゃないか。世界の平和と安定とはどんなものか？
難問だと思う。私は、これに答えを持っていない。ずっと考えるべきと思う。
しかし、こうは言えると思う。世界の正義のため、世界の平和と安定のためにする手段は、軍事力ばかりでないことは自明である。
また、日本は、何もしていないわけじゃない。多くのことをしていると思う。国連分担金、様々なＮＧＯの活動、平和主義の発信、
単なるお金を出す（湾岸戦争での多国籍軍へのお金、お金しか出さないとの不評を買いつつ、・・・えらいもんだ）など、多くをしてると思う。だから、自衛隊の活動を拡大する必要はない。軍事力のみで解決できないのは、これまた自明のことだ。たとえば、イラク戦争。同時多発テロへの反撃でイラク政府を転覆させ、かえってテロを拡散したと言える。軍事力による解決以外の、別な道を日本は、すすむべきと思う。平和的手段による世界の安定と平和。いうなれば「平和的積極的平和主義」で行こう。安倍さんのは、軍事的積極的平和主義である。
さて現在の安倍自民党政府は、この周辺事態法を拡張しようとしている。
（１）については、地理的には世界中で支援する、（２）については、現在出来ない武器・弾薬輸送もする、（３）については、米軍の見でなく、豪軍・多国籍軍へ拡大する、と言うことである。
周辺事態法の拡張は、日本国民を戦争の惨禍にさらす危険性を増す。勿論カネも食う。周辺事態法も含めて廃止すべきである。それが出来ないなら安保条約を廃棄すべきである。
「平和的積極的平和主義」でいこう。
