合唱はいいなあー「くちびるに歌を」を見て

夜勤明けではありましたが、妻の誘いで名取(自宅から1時間弱)へ映画を見に行きました。運転は、妻にしてもらいました。

見た映画は、「くちびるに歌を」でした。ネットで評判の高いもの(見た人の評判・・数は少なかった)を選んでいきました。

眠ってしまうのが心配でしたが、大丈夫でした。いい映画でした。合唱を通じて救われると言うテーマだと思いました。

舞台は、長崎県五島列島の中学校合唱部。合唱部顧問の先生が産休になります。その代理の先生(柏木先生=新垣結衣)がやってきます。彼女は、恋人を失って、ピアニストなのにピアノを弾けなくなっています。その柏木先生が、生徒との触れ合いの中で、ピアノを取り戻す。合唱部の部長(仲村ナズナ恒松祐里)は、父に裏切られています。その子のため、新垣演ずる柏木先生はピアノを弾きます。そしてピアノを取り戻す。人は、人のために生きることによって、自分も生きる力を得るのだと思いました。

一番良かったなと思ったのは、合唱大会の当日のことでした。それは、新垣の演ずる柏木先生が部長仲村ナズナを励ます場面ではありません。彼らの歌う合唱が、出産時の顧問へ届けられることでもありません。
合唱部の男子(桑原サトル=下田翔大)に自閉症の兄(桑原アキオ=渡辺大知)がいます。この兄のため、合唱部が歌を歌います。それだけなら「まあいいな」ぐらいなのですが、その歌に、他校の生徒も唱和して行きます。これが実にいい。合唱というのは、どんどんと広がります。カラオケも独唱もいけれど、合唱は広がっていくのが良い。心が一つになります。知らないもの同士が、心を一つにする、この大合唱が一番良かった。もし私が、この映画で歌われた歌を知っていたらもっと感動したでしょうね。

しかし、政治的意味で歌を心を一つにする手段とするのは、良くありません。勿論強制も極めてまずいことです。たとえば国家(君が代)斉唱。君が代は、歌詞的にも歴史的にも民主主義に合いません。私は、現天皇・皇后・皇太子を護憲と言う意味で、いい人たちと思いますけれども。それは公務員として当たり前なのですが、憲法擁護義務を無視する安倍さんを考えますと、立派と思います。また同じこと言っちゃった。

下田翔大の演ずる桑原サトルの手紙は感動的です。自閉症の兄のため自分は作られた(誕生した)と自覚している手紙です。この手紙は、自分に閉じこもっている柏木先生を強力に後押しします。一方しかし、そんな人生でいいのかなとも思います。人は人のため生きることで生きる力を得るのは間違いないのですが、しかし。・・それだけで納得するのかなとも思います。

仲村部長が、桑原サトルの兄桑原アキオを通じて、幼児体験を思い出す場面もいいなあ。愛された思い出を思い出す。いいねえ。この思い出を導き出すドの音。それは、出発の象徴です。

男の子たちの交流も良かった。初め下田翔大君に、殺害された上村君を見てしまいました。しかし映画では全然違いました。仲のいいお互い助け合う男の子たちでした。いいねえ。こんなのが普通なんでしょうね。もっとも上村君と違い同級生たちだけど。いや同級生同士でもいじめはりますね。殺傷事件までも起こすことがあります。でもそれはごくごくまれなことでしょう。

マスコミでは、上村君殺害事件を随分取り上げています。その背景はとか、防止策はとかもっともらしく取り上げてますが、私には興味本位に見えます。

新垣結衣は、笑顔が素敵な女優なのだと思います。最後の場面で生徒のリクエストで、笑顔を見せるのもまあ良かった。しかし、もっと素敵な笑顔が欲しかったなあ。わかれの場面なのでしょうがないか。

恒松祐里さん、すっきりしていて良かった。下田翔太君も良かった。

いい映画でした。珍しくパンフを買ったぐらいです。