首相会見を見て

この二日間、午後6時からの首相会見を見ました。
昨日は、自民党総裁に再選されてと言うことでの会見でした。どのような役職でも、再選されたらその時に記者会見するのが普通なのですが、どうして今頃になったのでしょう。
安倍安保法案が成立する寸前で余裕がなかったのかもしれませんが、何かの効果や戦略を考えてのことと考えた方がいいでしょう。なかなか宣伝がうまい人なので。

安保法制については何も語らず、強い経済を中心の話でした。
強い経済の話ですが、どのようにしてそれを実現するかと言うことは何もありませんでした。財源についても触れませんでした。
奇異に感じたのは、「アベノミクスの成果を利用して」というフレーズです。アベノミクスの成果ってなんでしょうか。すぐ思いつくのは、輸出大企業の利益や株価の上昇なんですが、そしてそれしか思いつかないのですが、それをどう生かすかについてのことは言いませんでした。その成果を生かすのなら、法人税増加や資産課税強化を言うべきです。
まさか、アベノミクスの結果である借金の増大(この三年弱で100兆円)や円安による輸入品の高さや格差拡大や実質賃金の低下や非正規労働者の増大(その結果全体として雇用者増)を成果と言っているわけではないのでしょう?
アベノミクスの負の面をどうするかを直視して、それを何とかしようと言う姿勢がありません。国民がいつまでも騙されるとは思われません。

「一億総活躍」にも違和感を感じました。安倍さんは、我らが活躍してないと言うのでしょうか。みんな活躍してますよ。生活に迫られてかもしれませんが。一生懸命生きてますよ。ダブルワーク、ブラック企業での労働、一円でも安い野菜を求めてスーパーめぐり、介護と労働の両立、・・・みんな活躍してますよ。

「新三本の矢」は、問題外です。旧三本の矢は手段の提示の面がありますが、これは単なる願望です。願望だけならだれでも言えます。

もはや、日本国民の幸せを推進する展望を持ってないと言えると思いました。

今晩の会見は、国会閉会に際してと言うことでした。話の中心は安保法制についてでした。
北朝鮮の核ミサイルの危険性、テロの危険性に対応して抑止力を高めると言う内容でした。
核ミサイルやテロを軍事力で防ぐことは、不可能と思います。同時に飛んでくるミサイルを撃ち落とすことのむずかしさを、米国の軍事専門家が指摘しています。テロも、原発、送電線網、各交通機関、水源、工業地帯、娯楽施設を守れるかと言うと考えられません。抑止力ですが、窮鼠猫をかむと言うこともあります。
最後の安心感として自衛隊で守るとしても、軍事力以外の抑止力を考えるべきです。
首相は、日本が攻撃された場合の備えとして、日米安保条約の強化を言っていますが、同条約では、安保法制がなくとも日本を守る義務があります。日本を守ってもらうために強化が必要と言うなら、安保条約は嘘になります。

首相は、安保法制を戦争法と言うのはレッテル貼りと批判しますが、安保法制と言う言い方もレッテルです。中味の議論で決めるべきでしょう。これまでの専守防衛と安保法制どちらが戦争を招く可能性が高いかどちらが国民の平和と安全に利するかを比べるべきでしょう。私は、国外に自衛隊を出さない方が戦争の可能性は低いと思います。
安倍さんの論法は、自分も戦争を望んではいない、故に自分が作る安保法案は、平和と安全を増大させるという論理です。自分が望めばなんでもかなうなんて、サリーちゃんやドラえもんなのですね。首相は。

国民の反対意見の多さに対して、国民の代表が国会で決めると言うのが正しいと言いましたが、昨年の総選挙が安保法制での選挙でなかったことは明らかです。国民の意見が割れてることについて、しかも違憲と言う意見が強いのですから、国民の意見を聞くために、衆院解散総選挙をやるべきでしょう。それが誠実さと言うものです。安倍氏は、不誠実な人間です。

首相自身が反対意見にレッテル貼りをしています。反対意見・勢力を無責任と切り捨てています。首相は、国会答弁で、質問に対してまともに答えず、同じ観念的な答えばかりしてた感じを受けます。その答弁も無責任と思いました。ちゃんと答えられない法律を通そうとすること、憲法違反の疑いの濃い法律を通そうとすること、国民の反対が多い法律を通そうとすること、これこそ無責任です。無責任な自公政権には退場してもらいましょう。