久しぶりの山田正紀

図書館に行ったら、懐かしい作家の本があった。山田正紀である。私と同じ年の生まれである。まだ作家やってたのか?という感じである。

本は、「早春賦」である。この本は、江戸時代の初め、八王子を舞台にした若者たちの成長の物語とは、思った。背景は、徳川幕府の圧倒的な権力浸透とそれに対する地方勢力の内紛である。しかし、メインは、どうも人間離れした能力を持つ若者たちの闘争のようである。

要するに、話がまとまってないのである。若者の成長でも、歴史にかかわる個人の行動でも、友情でも、どの面でも深みがない小説と思った。つまらない小説であった。

山田正紀は、20代に「神狩り」「神々の埋葬」「弥勒戦争」を読んで、すごい作家だなあと思った人である。確かに圧倒的に面白かった。興奮したなあ。もちろんエンターテイメントとしてだけれど。神をとらえようというプロジェクトや神は、悪意の存在だとか、ドキッとするような発想だった。

本の後ろ書きにある作家紹介によると、「神狩り」以降も作品を発表していて、SF大賞やらミステリー大賞やら推理作家協会賞という賞を取っているようである。だから、ほかに、面白い小説があるのだろう。しかしもう読む気はしない。

普段は、面白くない小説のことはブログにアップしないのだけれど、若いころの面白かった読書体験を思い出したので、書き留めておく。