各新聞の元旦の記事から

例年読売・朝日・毎日・日経・福島民報の元日の新聞を読み比べているのですが、11日になってようやく読み始めました。印象に残った言葉やら記事を、備忘のため、あげておきます。

(1)社説の中で印象に残った部分
読売財政健全化の先送りは、もう許されない。国政選挙の予定がない今年は、国民負担を議論する好機だ
社説の大部分が、北朝鮮危機を扱っています。しかし、どうすればこの危機を回避できるか、についての主張がどうもわかりません。そんな中で、唯一同意できるのが、この部分でした。
同様の主張が日経の社説です。
政府が優先的にやるべきことは何か。超高齢化社会を乗り切る社会保障と財政の見取り図を描くことに尽きる
経済紙らしくこの主張に沿って経済財政各論(と言っても大雑把だが)を述べています。読売よりわかりやすいと思いました。もっとも北朝鮮危機は、自国で決定できるものでないので、どうしたらよいかは、読売に限らず難しいでしょう。

毎日と朝日は、民主主義についてです。
毎日は、国民国家の揺らぎに対しての、民主主義の役割について述べていました。
民主主義の、国民統合機能に着目して、「互いに異論を認め合い、最終的には全体の結論を受け入れていくプロセスに価値がある」と主張してました。当たり前のことですが、大事なことです。しかし、実際にはこれがなかなか難しいと思います。
朝日は、「政権維持が自己目的化している」ので、(将来を見据えた)「より長い時間軸の政治を」と言いいます。これまた実に当たり前な主張です。朝日は、財政チェックの第三者機関とか世代別の国会代表、内閣の国会解散権の制限などを提言しています。一つでも実現できれば一歩前進でしょう。
福島民報は、南相馬出身の半谷青寿を取り上げ「自立自助の精神が今の福島に必要」と主張しています。

(2)各紙の中で気になった言葉・記事
「これまでは人余り社会だったので、改革すると失業者が増える恐れがあった。・・・(現在は)人手不足で、逆に改革しやすい環境になった。」(富山和彦) 
「・・地方の人の安い労働力をベースに安く売るモデルでなく、高く売るために何をなすべきか考えている。・・・質の高いものを世界に提供する戦略が日本には必要」(金丸恭文)
「うちの80歳近くの編み手さんは、70代から初めて腕を上げ、今一番速くきれいに編む。人は何歳になっても学べると知った」(御手洗瑞子)
以上毎日新聞・経済有識者座談会

「ジャンボニンニクを生産しています障碍者の皆さんは生き生きと働き、仕事が速い。彼らにとっては農作業が励みになっているようです」(新国竜太郎)
「首都圏には一級品を出す。しかし特選品は地元の酒蔵に来なければ味わえない。そうした特別なお酒を用意すればブランド力が高まる」(野崎洋光)
以上福島民報 福島づくり産業育成

「自分が享受している幸せ、受けなければならない不幸は、歴史のどの部分に起因しているかを、歴史の中から知ることができる」
「(新選組にほれ込んだのは)歴史の流れの中で、(彼らに)存在価値があまりないことだ。…世の中で最も魅力的なのは、どうでもいい人なのだと思う」
「(松平容保京都守護職受諾は、)‥筋を通したのじゃないか。誰もやらなくとも誰かがやらねければならないことは、自分がやるしかない。・・・筋を通すとはそういうことだ」
以上福島民報浅田次郎

「欧米諸国では、・・夫婦で働かないと生活ができないので共働きが広がり、保育・介護などのケアを国が分担。移民政策もあって労働人口は保たれ、経済は立ち直りました。日本は90年代・・・出生率低下や介護問題が顕在化しても、改革は進まなかった。・・・80年代に欧米とは逆に性別分業を進めたから」(落合恵美子) 朝日より
「言葉は、相手を倒す武器にはならなくとも、自分の心が押しつぶされるのを防ぐ盾になる」(朝井リョウ) 毎日より
「これから起きる本当の競争は、AI対人間ではなく、・・・AIを使わない人と・・・CPを利用して学び、その力を活用する人の競争です」(安宅和人) 読売より
「今の若い人は傷つくことを恐れて、恋愛にも臆病ですよね。牧水は満身創痍の人。彼の歌は「恐れるな」という励ましのメッセージです」(俵万智) 日経より
「あたらしいグローバル化は、先進国には混乱をもたらす。高度なスキルが必要な職は戻らない。途上国に戻った職を自国に戻しても、それはロボットがこなす。これは、我々が受け入れねばならぬ現実だ。何らかの対応をする必要がある」(リチャード・ボールドウィン) 日経より

多くの新聞が、情報技術革命を扱っています。
「思うような治療の成果が出なかったため、2000万以上の論文を学習したワトソンを利用した。その結果、10分ほどで別な特殊な白血病と見抜き・・・」(宮野悟) 毎日より
圧巻は、日経です。
朝刊第二部 9ページすべてが「ひらけ5G」と題した、情報技術革命やデジタル化の特集です。次世代(現在の100倍の速さ・2020年導入目標だそうです)の通信規格技術が仕事や生活をどう変えるかという特集です。勿論現在の先端技術も紹介されています。それぞれ、川柳みたいな表題がついています。つまらぬ句が多いですが、その紹介するICTの内容は、結構「へえー」です。面白い句を紹介します。「このオフィス僕がお茶くみロボ仕事」「部長だけスマホ割り勘なぜできぬ」・・もはや私は、こんな職場では適応できません。現役でなくて良かった。それにしても、自然エネルギー分野、電気自動車分野、基礎科学分野についで、この分野でも日本は後れを取りそうな感じを受けました。

e通貨のことも気になりました。
ウルグアイの中銀が昨年11月に発行した「eペソ」、・・・自国通貨をデジタル化した「国家版の仮想通貨」(日経)・・・国家版の仮想通貨、中国・英蘭加の中銀も研究を進めているとのこと。日本も研究を進めているんだろうな。頼むよ。