自民党憲法改正草案も読んでみましょう

9月の自由民主党総裁選に、安倍氏と石破氏が立候補しているようです。石破氏の総裁選のスローガンが「正直で公正な政治」というのですから、現在の安倍政治が正直でも公正でもないと言っているわけです。安倍政治が正直でも公正でもないのは明らかです。しかし、外部から見るとこれが強大な権力を持つ政権党の総裁選かとレベルの低さにがっかりします。

石破氏も自民党の有力者です。ほんとに正直で公正な政治を望むなら、これまでの森・加計問題、陸自の日報問題、財務省の公文書改ざん、セクハラ問題等で積極的発言をすべきでしょう。しかし彼はそうしてません。例えば、石破氏が、森・加計問題で、正直・公正のため、「野党の証人喚問に応ずるべきだ」と強く主張すれば、様子は違ったはずです。つまりは、石破氏も口先だけなんです。「も」というのは、安倍氏も同じだからです。

さて昨日の原町でのスタンディングには久しぶりに17人という大勢の人が参加しました。


どうしてこんなに多いのかと隣の人に言いますと、「これから共産党の街宣があるので、ついでに参加した人が多い」ということです。なるほどです。いつものスタンディングも共産党の人が多いと思います。

気温は26℃前後で、空は秋の色を含んでいるようです。気持ちのいいスタンディングでした。今朝は、最後のトウモロコシを収穫しました。一方白菜の種を植えました。数日前キュウリを片付けました。野菜にも夏の終わりと秋冬の始まりを感じます。

今日の私の新作プラカードです。ちと字が曲がってしまいました。汚い出来はいつものことです。

3選が確実視されている安倍氏は、執念である憲法改正に本腰を入れるようです。それには、アベノミクスの行き詰りが明確になったので、それから世間の目をそらさせ、憲法改正に耳目をひきつける意味もあるでしょう。

石破氏も憲法改正について、総裁選のテーマにしたいようです。石破氏が一番強調するのは、憲法9条改正案です。石破氏は、9条2項を削除し国防軍を設置するという考えです。安倍氏は、9条2項も残し、3項に自衛隊を明記するという考えです。

石破氏の案は、2012年作成された自民党憲法改正草案通りです。安倍氏の案は、自分も作成に責任を持った自民党案を否定するものです。この意味で安倍氏は、その場限りの考えしかない薄っぺらな人間といえると思います。軽薄な人です。

石破氏の案も安倍氏の案も、それまで憲法違反として自党が否定していた、集団的自衛権行使を容認するものです。憲法条文が変わってない以上、解釈変更はよほどのことがない限り、ありえないと思います。
当時自民党の解釈変更の理由は、「東アジアの安保情勢の厳しさの激化」でした。「安保情勢の変化で解釈が変わる」なら、今日、米朝会談が曲がりなりにも成立し、安保情勢が変わったので、解釈を元に戻すべきではありませんか。しかし、自民党はそれをしてません。かほどに自民党というのは、実にいい加減な政党です。


しかし、私は憲法改正について、自民党をある意味買う面があります。それは前述した憲法改正草案を出しているからです。公明党・立民党・国民民主党など、憲法改正の意向を表明してますが、その条文とその理由を説明してません。一部改正でも全体との整合性について説明せねばなりません。


自民党憲法改正草案です。自民党が野党時代に満を持して発表したものです。拙ブログで前にも言いましたが、石破氏・安倍氏を含め歴代首相等、自民党の有力者がこの草案にかかわっています。この草案こそが自民党の本音です。この草案が示すような国家・国民像を理想と考えているのです。この草案は、現憲法と対照させて発表しています。現憲法の示す国家像・国民像と違う国家像・国民像を、自民党は理想と考えています。

総裁選後の安倍政権が憲法改正に邁進する時、国民は、彼らの本音である2012年決定の日本国憲法改正草案を知らねばなりません。現憲法との比較をして、一人一人が考えて、現憲法か、自民党憲法草案の憲法か、どちらかを選ばねばなりません。勿論自民党も現実には憲法全体ではなく、一部分の改正を提案してきます。しかし、部分とは全体の一部です。また安倍政権は、解釈を好きに変える政権ですので、彼らの全体の国家像・国民像を知ることがぜひ必要です

安保法制論議が盛んな頃、立憲主義ということが盛んに言われました。それは、憲法は権力を縛るものという意味で強調されました。それは極めて大事なことです。特に安倍政権のようなルールを無視する政権下では、特に強調すべきことです。

しかし私は、憲法には、三権への命令だけではなく、国民への命令もあると思っています。命令といえば明らかに言い過ぎです。誤解が生じます。正確には「国民間の約束ごと」という意味が、憲法にはあると思うのです。

また憲法擁護義務は、国民ではなく天皇をはじめとする公務員に対するものだ(99条)とよく強調されます。それはそのとうりです。しかし、憲法擁護義務は、国民にもあると私は考えています。それは、この憲法は、国民が決めたものだからです。現憲法前文冒頭は、「日本国民は、・・・この憲法を確定する」となっています。憲法は、国民みんなで決めたルールということを明確にしています。みんなで決めたルールは、みんなで守らせるようしないといけないと思います。

また前述のように、国民皆で約束したことがあります。
第12条「・・・この憲法が保障する基本的人権は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。また国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」

改めて考えれば厳しい約束事です。

話がそれてしまいました。繰り返しになります。
安倍政権が憲法改正をしたいと言っています。そこで憲法を制定した国民としては、あるいは制定権力を持つ国民としては、今後条文上いろいろ細かいことは言われるでしょうけど、それは考えなくて良いと思います。解釈を勝手に変える政権の改正提案ですので解釈でどのようにでもできます。私たち国民にとって大事なのは、自民党日本国憲法改正草案と現憲法の比較をして、どちらがよいかを、一人一人が判断することと思います。