調理の世界の青春

ブログ知友のyonnbabaさんが紹介している「虹色の皿」(拓未司)を読みました。

調理師専門学校を卒業した主人公が、超一流のフランス料理店に入り調理師を目指すが、一旦挫折したものの復帰し、フランス留学へ出発するまでを描いています。また20歳ごろの男子の恋愛模様も描かれています。面白くて一気に読みました。以下に感想を書きます。

(1)調理師専門学校でも料理店でも、主人公を取り巻く料理の世界は、迫真の描写である。それもそのはず、作者は、調理師学校卒業し、調理師をやってた人だから。

 

(2)これまでまったく興味関心知識のない調理の世界なので、いろんな面白いことを知った。

例えば、

〇包丁の切れ味は、料理の味に直結すること。調理師が自分で研ぐ理由。

〇調理師学校試験の一つ、ジャガイモのシャトー剥き(ラグビーボール状に成型する)

で、何十キロも皮をむく練習をすること(熱心な生徒)

〇有名フランス料理店の就職試験は、何十倍の競争率なこと

〇そこでは、新米は15時間も働くこと。3年目でもまだ修行中で大きな魚を扱わせてもらえないこと。先輩は絶対で上下の序列は厳しく、体育会系であること

〇そこでは少し失敗した材料は、その料理には使わないこと

〇普通のレストランでは、全然違う作り方をしていること、それでも店でも客にでも通用すること

(3)興味を持ったこと

〇「美食家をうならせる料理」と「一般庶民が気楽に食べられる料理」のどっちを目指すか。

〇見習いを早くからきっちり教える伸ばし方と、教えずにしごく中で「先輩の技を盗め」みたいな伸ばし方とどっちがいいか

(4)20まで童貞を捨てるなんてことに固執するのだろうか

(5)初体験の女を捨てる場面は、こんななんだろうなと思った。しかし、捨てられる女はかわいそうである。

(6)フランス留学はエピローグとしてあとから付け足したもののようであり、元々は、一度やめた有名料理店に復職できるかどうか(試験に合格するかどうか)で終わってたのだろう。作品としてはその方が良かったと思う。

(7)復職(復職試験も)現実的話ではないな。まあ小説というほら話だからいいだろう。

 

yonnbabaさん、面白い小説をありがとう。