俺は死者のだれと会うかな/生者の誰に呼び出されたいかな

辻村深月「ツナグ」を読みました。

 

読んで、表題のような感想を持ちました。

 

面白い小説でした。

 

使者(ツナグ)とは、死者と生者を会わせる能力を持つ人です。ただし厳しいルールがあります。

 

生者は、生涯たった一度だけ、しかも、たった一人だけ死者に会うことができます。ただし、死者が応じた場合だけです。

こんな設定で、会いたい人同士が、満月の一夜に再会します。

 

周りから疎外されたOLと突然死したアイドル
一族の支えという過剰意識ゆえに苦しむ男とその母親

未必の殺意で殺したと思う女高生と殺された女高生。二人は親友かつライバル

2年間の同棲後突然失踪した恋人と7年後に再会する会社員

 

どんな展開になるのか、読むほうも緊張しました。面白いです。ただ私には、登場人物たちの心理のやり取りに理解できないことが結構ありました。

 

 

死者との邂逅では、浅田次郎がうまいと思い、大好きなのですが、この作家の場合

ほのぼのという感じではありません。

 

浅田の方は、心理もよくわかります。すとんときます。これは作者の年代の差ですかね。浅田は同世代。辻村は、30歳下。それとも男女の差かな。

 

 

最後には、すべての話を含めて、使者(つなぎ)自身の秘密が語られます。両親の死の真相も。

 

私には大団円と感じられました。(女子高生同士は違うかな)

 

さてと、

俺は死者の誰と会いたいだろう。母、H君、弟、義父、F夫、叔父、

俺の死後、生者の誰が、俺を呼び出してくれるだろう。