読書感想(2)ー「日本戦後史論」(2015年、徳間書店)

近頃読んだ本の感想を書きます

「日本戦後史論」(内田樹白井聡・・・この二人の対談です。面白いと思ったことは以下の事柄です。→が私の感想です。

〇ある政体は、その正当性を否認する情念を抱え込んで、それを普段抑圧している。その抑圧が破たんすると否認された情念が噴出してくる・・・内田説

例1(米国)原住民の虐殺・土地の簒奪で成立した(正当性否認事項)ゆえに未開人を見つけて教化啓蒙して人類に貢献という物語を作り続ける

→成功した敗戦日本の大改造、失敗に終わったベトナム・アフガン・イラク戦争もそうか、と思った。それにしても敗戦日本の大改造の成功だけ稀有の出来事だな。日本国民はよく言えば融通無碍。適応力・応用力あり。悪く言えば骨なしかもね。どう考えればいいんだろう。

例2.(フランス)独占領後のヴィシー政府はドイツに協力、事実上枢軸国で、実は敗戦国(正当性否認事項)ゆえにそれを研究することは抑圧されている。この抑圧が、移民排斥や極右政党の勢力増大の底流にある。

→そうかも。

例3.(ドイツ)すべての穢れをナチスに押し付け、一般ドイツ人を免罪、だから戦後厳しくナチス残党を厳しく断罪

→ここでも移民排斥やネオナチの台頭が見られるね。

例4(そして日本1)

明治維新で敗れた賊軍藩出身者(真崎甚三郎、永田鉄山東条英機石原莞爾板垣征四郎)が維新での敗戦を否認したいがため、破壊衝動的に戦争に導いた。「こんな国どうなってもいい」という暗い衝動

→そうかもしれない。そういえば山本五十六は長岡であったな。

ソ連崩壊を目の当たりにしたプーチンも、その屈辱を否認したいためウクライナ侵略をしたか、その心には「こんな国(ロシア)どうなってもいい」という暗い衝動があるかも。となると怖いなあ。

例5.(そして日本2)

安倍首相も、敗戦を否認したいがため、憲法改正とか戦後レジームからの脱却とか言っている。占領期、岸信介正力松太郎等の対米協力者の姿を見たくないため特定秘密保護法に積極的。安倍首相にも破壊衝動がある。

→なるほど、こんな国どうなってもいいという暗い情念。「台湾有事は日本有事」なんて、中台戦争に日本が参戦し、戦後日本が滅べばいいと思ってるのかもね。恐ろしや。

→破壊衝動って俺にもあるかなあ。

 

〇戦後日本の外交は、「対米従属を通じての対米独立」(のれん分け)という作戦。これが1972年まではうまくいった。独立と沖縄返還と。しかしその後は、対米従属のごほうびはないのに、それが目的化している。

→なるほど、そうかもしれない。目的化しているのも当たっていると思う。

→いったん否定したうえでの「日米同盟」ならいいかも。「韓国の軍幹部養成学校の多くの学生の仮装敵国は米国である。でも第二次朝鮮戦争の指揮は米軍と一緒と了解している。」という例をこの本であげていた。

→韓国軍人、面白いなあ。

 

〇属国からの離脱という政治目的だけに限れば、一番効率的な解決方法は、「米国の51番目の州」(内田・白井)

→なるほど、少なくとも属国ではなくなるか。その場合、天皇制が邪魔になるけど、それをなくしても、米国は受け入れないな。米国の主流白人が嫌がる。戦前の排日運動の再燃だな。しかし、日本州が成立したら、銃規制が成立するな。元日本人1億が銃規制賛成だろうから。日系大統領もまじか(笑)米国ジャパン州だったら、まあどこの国も手を出さないだろうな。それともいま同様、最前線基地として真っ先に叩かれるか。追い詰められれば、戦前日本みたいに米国に食って掛かる国も出るかも。理性を信じるなら、仲よくしようという作戦の方がいな。

 

〇WWⅡでのフランスは敗者であり、イタリアは勝者、という内田説は、そうかもと思った。実に面白い。内田はドゴールの力業と言っているが、これぞ外交だろう。

 

〇1980年代、日本には中国大好きという気分が強かった。中国でも日本好きという気分があった。日本には、アジアに回帰するという思いがあった(内田)

→まさにその通り、よくわかる。福島県のド田舎の村=飯館村原発事故で有名になった)でも、村の有志がお金出して中国人留学生を受け入れていた。

 

→日本は、東アジアに回帰すべきという気もする。もし、社会契約説、自由、民主主義、人権という欧米思想を体現しつつ東アジアに回帰したら素晴らしいな。それに加えて、平和主義もあったらいい。日中韓連携があったら、アセアンも含めてアジアで地域的集団安全保障体制をつくることも可能かも。そういえば3国持ち回りトップ会談なんて構想あったと思うがどうなった。

うーん、遠い、夢のまた夢。

 

 

→今年は、日中共同声明=国交回復50周年である。日本政府はこれを生かすべきである。しかし動きはなさそうだけれど、敵視ばかりではいいことはない。

 

→また平和友好条約とともに、共同声明の内容を確認すべきである。両条約で、日本は北京政府を唯一の正当な政府と認めている。お互いの主権尊重・領土保全・内政不干渉を認めている。問題解決のための武力行使、武力威嚇はしない、平和的解決を言っている。勿論東アジアに覇権を求めないとも約束しあっている。

 

 

話はそれるが、私の今一番の心配事。中台問題についてまた言う。

「やはり台湾問題は、中国の内政問題でしかないのでは、という気がする。台湾問題は軟着陸できればなあ。遠い将来台湾の香港化の時、IT世界最先端の技術・知識は海外流出するだろう。同時に優秀な若者も。欧米に行くだろうな、その行く先は。日本が武器供与までしても、日本には来ないという気がする。台湾の香港化あるいは本土化は、台湾の人たちはかわいそうと思うけど、そんなこと言ったら、中国本土14億人がかわいそうと言える。でもどうしようもないだろう。

日本は米国の口車に乗って、台湾の軍事的防衛になんか乗っちゃいけない。防衛費増額反対!借金大国・老人大国・若者激減の衰退国家の日本に言えるのは、ただ一つ。無い袖は振れないという事アメリカがやりたいなら勝手にやればと言えばいい。

きっとアメリカも軍事的に手出ししない。米政府がモンロー主義の時には勿論手出ししない。米政府が理想主義(世界に自由・民主主義・人権を)の時も議会が戦争を認めない。せいぜい、ウクライナ同様武器供与のみ。これって米国軍需産業に多くのお金が落ちることだから、損はない。

日本の軍備拡張の金は大方米国軍需産業に入るだろう。儲けられる。故に日本は、台湾問題に深入りすべきでない。ましてや中国の台湾軍事侵攻に備えて軍備拡張なんてすべきでない。」

 

→ここを梃に日中外交をすべきである。米国は嫌がろうが、元々日本の頭越しに中国との国交を開いたのは米国である。何の遠慮があろうか。また外交とはこういうものである。幅広いスタンスが必要だ。米国外交が、「世界に関与」と真逆な「アメリカファースト」という二つのスタンスを持つように。

 

 

→自公や維新はこれを出来ないので、また共産党中国共産党と仲悪そうなので、立憲が提唱すればいい。「全方位外交」なんて言ってね。それは結局自公政府にもメリットも、もたらすはずだ。かつての社会党のように。

 

かつての自民党は、米国から面倒な注文を出されたら、「いや、うるさい奴らがいてね。どうもそれはちっとね。」と言ってた。

 

「日米同盟」に懐疑的な野党が強ければ、「そうはいっても、ゴリ押しすると、政権がやばい、基地がやばいよ」と言えば、米国も己の利益(東アジアでの覇権)のため、在日米軍基地を必要としているから、結構妥協はするだろう。

 

 

また、ちと感想から離れてしまった。

 

 

という事で、どうことか全く不明ですが、久しぶりのいい天気、相馬のスタンデイングにいってきまーす。「借金大国、老人大国、衰退日本の軍拡反対」。