昨日宮城県名取市で映画を見てきました。コロナ以後は見てませんから、何年ぶりでしょうか。
「すずめの戸締り」という映画でした。妻のプール仲間たちが、見に行って「感動した」「泣けてしょうがなかった」という感想なのだそうなので、妻に誘われて、私も行ったのでした。
私には、「感動した」とか「泣けた」とかはありませんでした。
ただ地震の怖さは、感じました。封印を解かれ、空に立ち上る、赤黒い巨大なミミズのたうち回る姿。東京が心配になりました。
この映画のように、地震が何かの封印で抑えることができるなら、いいんだけどね。
新海誠監督なのだそうですが、なるほど作りが「君の名は」「天気の子」と似ているなあ、と思いました。
さすがに映画の帰り道、周りの風景を見て地震・津波のことが思い出されました。
あれからもう12年たつのか。震災直後は、スケルトン状態の家屋ばかりだった海岸部。昨日は、荒廃した空き家は、ただの1軒しか目に入りませんでした。
今は、同じところに住宅がいっぱい建っています。また大きな津波が来たらやられるのになあ、と思いました。大丈夫なのでしょうか。
人は忘れることで生きていける、ということもありますね。どうしようもないこともいっぱいあります。
昨年の警視庁の発表だと、東日本大震災の死者15900人、行方不明者2523人、震災関連死3784人。恐ろしい死者の数です。死者を生き返すすべはありません。死者のご家族は、家族の死をどう扱ったのでしょうか。
近頃読んだ平野啓一郎「ある男」は、どうしようもない負い目から逃れようとした男の話と思いました。処刑された殺人犯の息子が、戸籍交換によって、別な男の人生を生きる話でした。ミステリー仕立てで面白かった。
一方、忘れてはいけないこともあると思います。
震災関連死の死者3784名のうちどのぐらいの人が、原発関連死だったのでしょうか。ググってみましたが、正確な数値は見つけられませんでした。
津波による避難者と原発による避難者では、圧倒的に後者が多いわけです。何せ大熊・双葉・富岡・浪江・飯館等丸ごと避難しなきゃならなかったわけですから。ですから、震災関連死者のうち圧倒的なのは、原発関連死者だと思います。
原発事故は、国や東電が注意深く、あるいは誠意をもって対応していれば、防げたと思います。同程度の津波の可能性は、前に指摘されてました。国・東電が、万一に備えて対策を取っていれば事故は起きなかった。原発関連死者は、なかったはずです。原発事故は、人災です。
これは、忘れてはいけないことです。どうしようもなかったことではありません。
忘れてはいけないこと。
突然ですが、(1年前にも書きました。ロシアの侵略が始まったころ)
「我ら連合国の国民は、我らの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨禍から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念を改めて確認し、・・・このため、寛容を実行し、かつ、善良な隣人として、互いに平和に生活し、・・・・共同の利益の場合の場合の他は、武力を用いないことを、原則の受諾と方法の設定を確保し、・・・国際連合という国際機構を設ける」(1945年10月24日制定、国連憲章前文)
国連憲章第2条 3.すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない
国連憲章第2条 4.すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を、いかなる国の領土保全及び政治的独立に対するものも、・・・つつしまなければならない。
これを世界の国々は、忘れてはいけません。
ところが連合国(米ソ英仏中等戦勝国)は、戦後、自分たちがつくった国連憲章の精神を結構無視して、行動してきました。
私は、国連憲章の主語が「我ら連合国の国民は」とあることが大事だと思っています。
連合国は、ではないんです。
俺はこう思ってます。
専制国家も民主国家も、国家というものは、力のあるものが支配していて、国家意思を決めます。国家は、ある場合戦争を引き起こします。つまり戦争は、国家を支配する何らかの力のあるものが引き起こします。戦争の惨禍は、専制国家でも民主国家でも、力のないものに多く降り掛かります。
そこで。
力のない全世界の諸国民の皆さま、お国の、力のある人たちが引き起こす戦争を阻止しましょう。戦争は彼らの利益のためにおこります。「栄えあるわが祖国」とか「祖国の栄光を取り戻そう」とか、「世界に冠たる云々」とか「我が国こそグローバルスタンダート」とか「世界の中心で輝く国」とか、国家の宣伝に騙されないようにしましょう。
「万国の一般庶民よ、団結せよ」
♪立て、万国の庶民たち♪
あれあれ、酔いが回ってきたな。
連合国の国民は、自分達の政府が自分達がつくった国連憲章を守るよう働きかけて下さい。あとで国連に入った日本等の敗戦国、戦後の独立国の国民も、自国の政府が国連憲章を守るよう働きかけてください。
尚国連憲章第7章には、侵略に対する制裁(初めは、国交断絶を含む経済制裁、これでダメな場合、個別的自衛権及び集団的自衛権に基づいた武力行使)を、国連安保理が行動する前に限って、認めています。