「法の支配」というならばー広島サミットを考えるー

広島サミットが終りました。良いことは二つあったと思います。

G7の首脳や招待国の首脳が、原爆資料館原爆ドームを見て、原爆の惨禍を知ったこと。これを非核化につなげてほしい。原爆の惨禍を見たことは少しは、核使用のブレーキになることを期待します。

もひとつは、韓国大統領と日本の首相が、韓国被爆者慰霊碑を訪れたこと。これは、意義あることと思います。韓国の被爆者は、日本の植民地政策の犠牲者かつ原爆の被害者という二重の被害者です。そんな意味のことを、日本国首相は言ってほしかった。韓国は、言うまでもなくもっとも近い隣同士で、しかも歴史的にも極めて密接な国です。DNA的にもひどく近い。言語も。現在、文化でも経済でも少子高齢化という課題でも、北朝鮮問題という点でも、米中という巨人に対処するという点でも、民主主義国同士という点でも、深い関係があります。

 

世界でダントツ一番仲良くすべき国でしょう。

 

現在の日韓交流は、韓国側からの歩み寄りがもたらしたものです。韓国は政権が変わると政策がガラッと変わります。現状の日韓の良い関係を盤石にするため、岸田首相は、自民党右派を考慮することなく、徴用工問題で、韓国国民にアピールすべきです。1960年代に片付いた問題だ、というのは簡単です。そしてその言い分は正しいです。しかし、被害者の気持ちというのは簡単には収まりません。韓国民の気持ちをなだめるよう

謝罪とか加害会社への働きかけ(例えば拠出金の働きかけ)とかしてほしいものです。ぜひお願いしたい。

 

 

さてゼレンスキーが来日参加したこともあって、ウクライナ問題がクローズアップされたG7サミットでした。ロシアのウクライナ侵略批判を確認したことは良いことです。

しかし、中国・インドははっきりしません。グローバルサウスもはっきりしない国々があります。その一端は、G7がロシアを批判する根拠である「法の支配」に、G7のご都合主義が見え隠れするからです。

 

それについての私の考えを述べます。

 

ロシアを批判する根拠は、「国連憲章」違反故、即ち「法の支配」違反という事です。

 

「法の支配」は、人類の幸福のため、一国内でも国家間でも、最も大事にすべきルールです。大原則です。

もし、そうでなければ力の強いものに有利となり、特に弱者にそして全人類に不幸をもたらします。ホッブズの言う「万人の万人に対する戦い」=無法=無秩序になります。そんなことは小学生でもわかります。「法の支配」に、個人も国家も従うべきです。個人及び人類の幸福のためには、これに個人も国家も従わせるほかないと思います。

 

 

国連憲章」は、参加している全国家が、従うべきルールを示しています。国連憲章では、国家間の紛争を防止するため、平和的解決(話あい、司法的解決)を原則としています。それでだめな場合、経済制裁、さらに武力行使を決めています。武力行使は、自国が侵略された場合、国連が行動を起こす前に限って、個別的自衛権さらに集団的自衛権行使を認めています。

 

ウクライナは、かつてロシアと同じ国家を(ソビエト連邦)構成してましたが、ソ連崩壊以来30年間独立していたのであり、軋轢はあったにせよ、ロシア系住民の多いクリミヤ・東部諸州も合法的に統治していたわけです。ですからロシアの今回の行為は、国連憲章違反の武力行使です。違法な侵略行為です。法の支配の名のもとにG7が厳しく批判するのは当然です。

 

ウクライナに武器等を援助するのは、戦争を激化させ人の命が奪われることになりまずい、故に即時停戦・調停努力をせよという意見があります。しかし現状で停戦したら、ロシアの不法行為を容認することになりますので、武器等を援助するのは正当な行為と思います。ただし、ウクライナ国民が、停戦を求めるのなら別です。侵略行為の正当化になりますが、停戦を斡旋すべきでしょう。命が一番大事なのは間違いありませんので、ウクライナ国民の意思に沿う行為を国連加盟国は、すべきです。

 

また、ロシアに厳しく対処するのは、ロシアを中国側に追いやり、中ロを接近させ、欧米日との対立・分断を促進してまずい、と言う意見があります。しかしそれはやむを得ぬことです。

 

国連憲章=法の支配を最優先すべきです。

 

ただし、欧米日も「法の支配」と口だけで言うのでなく、また「法の支配」を自分の都合のいいときだけいうのでは、説得力がありません。自分達もいつも法の支配に従うべきです。それでこそ、先進国でしょう。

 

国連憲章も法ですが、そのほかにも法はあります。戦争の仕方(戦時国際法)も法です。戦時国際法には、100年以上前!のハーグ陸戦条約以来、非武装地帯や非戦闘員を攻撃してはならないというルールがあります。

 

第二次大戦で言えば、ドイツによるゲルニカ爆撃、英国都市爆撃、連合軍によるドイツ都市爆撃、日本による重慶爆撃、南京虐殺、米国による日本都市への爆撃、これらすべて、国際法違反です。非戦闘員殺傷だからです。非戦闘員殺傷の最たるものが、米国による原爆投下でしょう。

 

広島でG7サミットをやり、「法の支配」を言うならば、米国による原爆投下は間違いであったという事が示されねばなりません。それでこそ、広島でやる意義があります。しかしそれをこのサミットでは、いかなる形でも示していません。

 

さらに、国際法には、条約も含まれます。核兵器の主要な条約には、核拡散防止条約(NPT)と核禁条約があります。核拡散防止条約は、ある時点での核兵器保有国の核を認め、その他の核保有を認めないという不平等条約です。核保有国の核保有正当化の理由は、相手の攻撃を抑止するためという核抑止論です。それは、ある非核保有国が、自国への攻撃を抑止するため核兵器を持つという理屈を正当化します。故にどんどん核保有国が増えます。

 

つまりNPTではダメなんです。核抑止論ではダメなんです。核抑止論は、法の支配(非戦闘員への攻撃禁止)違反を本質的には容認する考えです。

 

世界は、核禁条約を進めるべきでした。特に唯一の戦争被爆国日本は、核禁条約を進めるべきでした。

 

核兵器の開発・保有・使用・脅しを禁止する核禁条約をすべての国が結ぶ方向に動くべきでした。広島サミットは、その絶好のチャンスでした。それなのに、広島サミットでは相変わらずの核抑止論を主張しています。

 

 

広島出身の岸田総理、情けなや。

 

自公政府は、日本が核禁条約を結ばぬことに対して、核保有国と非核保有国の橋渡しなんて言いますが、何かしてますか。しましたか。口だけでしょう。

 

「日本は、米国の核の傘の中」なのでというならば、それを外れればいいだけです。「日本は、核抑止論を否定し、核禁条約を結ぶ。核の惨害を身に染みて知っている日本は、日本が攻撃されても、日本を守るための米国の核使用は認めない」と言えばいい。日本国を攻撃する国は、そう表明しておけば、日本を攻撃する国も核攻撃はしずらいでしょう。欧米と同盟関係にないウクライナだって、ロシアの核の脅しに屈していません。日本の場合安保条約があります。ウクライナにはない米軍基地もあります。しかも唯一に戦争被爆国です。言い分は通ります。言い分を通すのが、原爆の惨害を受けた人々への供養だと思います。安保条約を日米とも認めても、核を否定することはできるのです。

 

しかし、核の傘ってホントにあるのかな?

 

少なくともこうは言えます。米国の核の傘の下のドイツやオランダなどは、核禁条約締約国会議にオブザーバー参加しています。日本は絶対参加すべきです。

 

 

NPTは、不平等なかつ不十分な条約です。しかし、不平等をいくらかでも解消するため、NPTには、核保有国の核軍縮義務が明記されています。

 

 

日本国政府は、せめて核保有国の核軍縮を呼び掛けるべきでした。

 

こんなことを考えながら、相馬のスタンデイングに参加してきました。今日のプラカードはこの三つです。

サミット中バイデン米大統領は、一部の会議不参加とのことです。自国の政府の債務不履行問題の為です。米国は、借金に限度があります。GDPの120%程度とか。それに比して、日本政府の借金は260%だったかな(不正確)。米大統領は、借金問題の為、不参加かも、なんて話もあった。日本は、「のんびりサミットの議長国だぞ」なんて誇らしくしている御身分じゃないでしょう。

今日一番言いたいのは、このことです。
今日は可愛いい1年生は通りかかりませんでした。自転車の多分4・5年生に聞いたところ、昨日の運動会の代休なのだそうです。スタンデイング参加者は8名でした。写真はとりませんでした。

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日本経済新聞の記事で、40年前、G7の合計のGDPは、世界の60%だったのに今では40%であるという事を知りました。(詳しいことは日経の有料会員しか見れない、俺は有料会員じゃない)、今日の毎日新聞の社説では、60%ではなく70%と言ってました。いずれにしても、発足当時G7は、世界のリーダーだったのに今は世界を動かす力が激減しているのは明らかです。

 

G20というのがあります。G7以外のG20の国々(中国・インド・インドネシア・ブラジル・韓国・ロシア・オーストラリアなど)の世界に占めるGDPの割合を見ると、アルゼンチンと南アを除いて、29.1%(2021年)もあります。(私の見た資料にアルゼンチンと南アがなかった40%対30%。世界がG7の思うように動かないのは当然です。G7は、己をわきまえる必要がありますね。なぜ他国がいう事を聞かないか?経済直の衰えばかりではないと思います。聞いていてもらえない理由の一つは、自分達の都合で主張をしているからでしょう。

 

それではダメです。他国はいう事を聞きません。「法の支配」を言うなら自分たちが率先して法にそった行動をすべきでしょう。

 

例えば、NPTの義務である核軍縮を少なくとも英米仏でまず行って、中ロ印パ北鮮イスラエルにも呼び掛け、その軍縮で浮いた金を何らかの形で、核禁条約締結国に回すとかしたらいいと思います。欧米と中露・北鮮がお互い相手が悪いから核軍拡するなんていつまでも言っても始まりません。核は違法な武器なのですから。その立場をはっきりさせましょう。

 

お互いがにらみ合っている状態で難しいことは分かりますが、これを進めなければなりません。それをやれるのは、唯一の戦争被爆国日本しかありません。

 

こんなことを呼び掛けるのが核保有国と非核保有国の「橋渡し」なんだと思います。日本政府はこんなこと全くしてません。

 

核禁条約締結国は、グローバルサウスに多いと思いますので核軍縮で浮いたお金を、グローバルサウスの例えば何らかの形で環境保全などに使ったなら、人類全体の福祉に役立つでしょう。

 

昨日投稿したつもりでしたが、してませんでした。