米国の「海軍日本語学校出身者」に感謝する。

NHK 映像の世紀 バタフライエフェクト 太平洋戦争「言葉で戦う男たち」を見た。

NHKプラス)

内容は、太平洋戦争中と戦後に、日本のために尽くしてくれた4人の米国人の話である。彼等は、戦争に役立てるため、米海軍の日本語学校で勉強した若者たちである。日本語を習得し、暗号解読・捕虜尋問・占領政策等を行う為である。

 

ドナルド・キーンは、有名だろう。番組での取り扱いは少ない。

 

エドワード・サイデンステッカーは、佐世保占領政策に当たっていたが、復旧に当たる日本人を見て「将来必ず世界に恥ずかしくない国民なる」と確信し、日本人・日本語に関心を持つ。5年後東大に入学、日本文学研究者となる。谷崎・三島・川端等と親交し、翻訳をした。川端は、ノーベル賞をもらった時、「翻訳者に半分やるべきだ」と述べている。彼は同賞の授賞式で川端に同行し、「美しい日本の私」を翻訳しスピーチした。

 

オーテス・ケーリーは、日本・小樽生まれ。キーンとともにアッツ島で戦う。戦後の日本人の荒廃を見て、励まさないといけないと思い、高松宮を通じて天皇巡幸を進言した。「天皇は、降伏に異常な力を発揮した。占領を安定させた。まだ役割はある、人民のための天皇となり、平和的再建に役立ってほしい」。のち同志社大教授。同大学生寮監督。

 

 

テルファー・ムックは、テニアン攻撃に参加し、同島占領後(3500人死亡)、捕虜収容所(9500人捕虜)で日本人の子供(2000人)のために学校を開設した。日本語で読み書き算数体育等の教育を実施。「母国語で勉強するのはとても大事」という考えた。日本人校長が反対した男女共学も実施。のち自ら英語の授業をする、彼の教え子の一人は、「軍国教育をされていた私達にいわゆる民主教育を施した」という。

 

 

占領下での犯罪者もいる一方、敵国日本のために尽くしてくれた米国人が多くいることに改めて感謝する。

 

この番組で一番印象深かったのは、ムックの次の言葉である。

 

テニアンからは、本土爆撃のB29が出撃、やがては原子爆弾もこの島から運ばれる。こんなテニアン基地で、ムックは言う。

「兵士たちは、心が引き裂かれている。島の子供たちにスポーツ用品を与え、パーテイをし、可愛がる一方、本土空襲では爆弾を投下する。・・・人と人とが知り合っていれば憎しみは生まれない。知らないからこそ3万フィートの空から爆弾を落とせるのだ。これが戦争の悲劇だ」

 

庶民同士の付き合いと同時に諸国間の指導者の付き合いも切に望まれる。

 

この番組内容と関係ないが、戦後巡幸の天皇に対しての日本国民の歓迎の熱狂には、ひどく考えさせられる。

 

この熱狂は、戦前の「天皇陛下万歳」「海行かば水漬く屍山行かば草むす屍大君の辺にこそ死なめかへりみはせじ」と同じ質のものではないか。

 

私は、戦争責任は軽重大小の差はあれ、戦前の大人の日本人全員(特に男性)にあると思っているが、特に一番大きな責任が天皇にあると思うので、糾弾の声が上がってよいはずだと思うからである。

 

勿論「あたらしい戦前」である現在の大人の日本人(男女)にも、(あるとすればだが)将来の戦争に大きな責任がある。逆に現在では、ただ天皇・皇族にだけ責任はない。彼等には政治権力がないのだし、政治的発言権もない、第一選挙権もないのだから。

 

ついでに。

今日午後一時から1Fの「処理水」海洋放出が始まった。岸田首相は、それが終る30年後まで責任を持つというが、30年~40年間どんなことが起こるかわからない。その間総理をやるつもり(笑)。責任が持てるはずがない。

海洋放出はやむなくする措置である。私は陸上保管の手を尽くしたと言えないと思っている。廃炉の決まった2Fの敷地に保管はどうか?1Fの周りはどうか?福大の先生たち地質学者の言う「広域遮水壁、大規模集水井等」で汚染水を減らす方式を検討したのか、私は不十分と思う。

 

原発事故がなければ、通常の汚染水を超える問題はない。原発事故に責任を取るなら、

陸上保管の手を尽くし、それでもやむを得ず放出するのであれば、原発を停止するという決意と同時にすべきだろう。自分達の失敗により、平常よりも大量の放射性物質で地球を汚染するのであるから。それが責任ある行動であろう。