浅見光彦が一番愛した女性ー平家伝説殺人事件

 内田康夫推理小説の主人公浅見光彦が一番愛したのは、「平家伝説・・・」の佐和でしょうね。浅見が積極的に好きという気持ちを表したのは、おれの知る限り、佐和に対してだけだ。キスをしたのも彼女だけと思う。ただし、すべてを読んだわけではないので確かなことは言えない。

浅見光彦ファンクラブなんてのがあるなんて聞いたことがあるが、そのクラブなどでは、こんな話が中心の一つなのでしょうね。33歳の浅見と19才の佐和。年の差が大きい。もちろん結ばれることはなかった。当たり前だ。浅見が独身で魅力的な女性との出会いもこの小説の魅力だからだ。結婚させてはまずい。佐和とうまくいかない予感をこの小説のラストは暗示している。平家落人部落の名家の血を引く佐和がその部落を捨てられるか?なんてことを言っていたから。
 
 さて、この平家伝説は、内田の浅見シリーズでは、出来のいいものであると思う。最初にある程度の真相を明かしており、最後に意表を突く結末。密室殺人あり、一人二役あり、トリックありで豪華な中身である。そして、ユーモラスな場面、緊張する場面もあり、
楽しめる作品であった。伝説シリーズでは、「後鳥羽伝説殺人事件」の次に面白いかな。