7・31 もう食べないのか

 今午前11時30分。
 今日は朝から何回食べさせようとしたろうか。起きてニコニコ。朝5時40分には、お早うと言ったら、お早うと言おうと口を動かした。今日は起きてる日だ。4日ぶりのチャンスだ。そう思って、ベッドを起こすと眠るということを繰り返した。今は、ニコニコしていて、まるでいたずらっぽい目で見ているようなので、ななめ40度くらいにして、ゼリー類を持って行ったが、目をつぶっていた。くちに匙を近づけるとまるでいやいやをするように首を振る。やはり、拒否しているのかなあ。昨日書いた宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の蠍のように、夜鷹の星の夜鷹のように、これまで食べてきた罪滅ぼしのように、自分も食べないのかななんて思ってしまう。ボーとしている目は、何かを訴えているようにも見える時がある。神々しいなんて、病院にいる時、娘が言ってたけれど、そんな気もする。しかし、病気は認知症なんだ。
 認知症の病変は、食べる機能まで忘れさせたのか。そう考えると恐ろしい気がする。何もかも忘れさせるのか。
 今福永武彦「忘却の河」を読み始めた。母とは何の関連もなく手にとった本だ。かつて24か25のころ読んだ本だ。この場合の忘却するのは、かつての自分の罪である。だから母の認知不全とは関係がない。しかし何の因果だろうねえ。忘却!