旅の半ばで

久しぶりに熊谷龍也のものをよんだ。「虹色にランドスケープ」という短編集だ。短編集と言っても、バイクに関連しての連作短編集と言ったらいいのかな。

何らかのつながりのある(バイクに関連して)人がそれぞれ主人公になっての話である。

この中で一番良かったのは、一番初めの「旅の半ばで」であった。リストラされ、再就職ができず、ローンに追いかけられ、保険金めあてに事故死を装って自殺しようとする主人公の話である。

何か身につまされる。家族のため保険金しか残せず自殺するなんて、何と言ったらいいか哀れ、壮絶、何と言ったらいいかねえ。

心情に深く同情する。事故死に成功すれば、家族への心の負担もすくない。やはり最善の解決方法かなあ??どんな仕事でもいい、子どもが高校しか出られなくてもいい。もちろん手に入れたマンションは売り払って、狭いアパート暮らしに戻ってもいい。それを家族に分かってもらって、その方が家族としては幸せなんだろうな。


自殺決行場面では、ドキドキした。しかし、失敗に終わる。

しかし(まあひどい文章!夜勤明けという言い訳をさせて)最後は、この事故の後遺症で家に帰る途中で病死する、というのが結末。結末はなんかいまいちという気がした。

他の短編は、この話から熊谷が想像して作った話という気がした。無理にバイクつながりで話を作らなくとも、という気もした。それぞれ別の短編としてもいいと思った。

まあそれぞれ面白かった。

(以下は上述の次の日のつぶやき)
熊谷は好きだ。○○の森シリーズでであった。マタギものである。仙台(付近)の戦後ものもいいな。特攻の話もよかった。このブログを早くから書いていたらどんな話だったか、感動がどんなだったか、後で見てわかるのに、すっかり忘れた。ただ良かっただけは残っている。最近では、「バイバイフォギーデイズ」を覚えている。熊谷の憲法9条についての考えが書いてある。一つの面白い考えと思った。

も一つ読んだのでは、震災後の東北を応援するような小説だ。(名前が出てこない)偶然が過ぎると思ったが、それでもいいじゃないか。我々被災地には、元気が出る話が必要だ。