立民よ、お前もか。そのバスは、地獄ゆき!だ

本日、日本経済新聞を見て心配になった。

立民「反撃能力」容認を検討ー維新・国民民主に続く/責任政党へ現実路線

という4面トップ記事である。

記事内容は、①立民の外交・安保戦略PT(玄葉が代表)が、反撃能力の保有専守防衛憲法の規定範囲での保有を認める)・防衛費増を提言した。

②維新は、既に「一定条件下で反撃能力を認めるのは当然」、国民民主も「反撃能力保有を認めている。

③共産は、反撃能力は違憲、防衛費増も中止。

と主要野党の政策を紹介し、「各野党の安保政策は、各党が政権担当能力を試される試金石、民主党鳩山政権がつぶれたのは普天間基地移設問題で日米関係が悪化したことが一因」として、立民の「反撃能力の保有」を後押しする主張を展開している。

締めくくりが「台湾有事は絵空事でない。野党の無責任な政策にはこれまで以上に厳しい目が注がれる」とある。

 

以下私の感想

(1)毎日新聞は、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」と書いていたが、日経は反撃能力としか書いていない。政府が敵基地攻撃能力をごまかすため反撃能力と言い換えたのをそのまま無批判に使っている。前のブログで言ったように、すでに日本国領域での反撃体制は出来ており、どこまで反撃するかの問題であり、そのことを考えない日経は、自分で物事を考える能力、あるいは意識のない新聞(政府に頭を任せている)であると判断する。この面では、政府の宣伝塔だろう。

 

(2)立民は、PTが提言してこれから自由討議に入るとのことだが、しっかり討議してもらいたい。ちなみに今思いついた、考えるべき例を挙げる。

〇敵基地攻撃なんて可能かどうか?北朝鮮でも、移動式基地、地下基地、SLBMを持つ。中国の場合、中国奥地の基地を撃破できるのか?どれだけ多くの基地があるか、分かるのか。一つでもうち洩らすことはないのか?

このミサイル戦争の場合陸自が必要かどうか。必要としてもどの程度か。どのぐらいの継戦能力を考えるのか?敵基地攻撃能力の実効性こそ、日経の言う「絵空事」だ。

〇敵基地攻撃可能のミサイル保持の場合、緊張が高まれば、敵も日本のミサイル基地を狙ってくる。多弾頭超高速ミサイルをすべて撃ち落とせるのか。

 

戦争時に守るべきは、政府中枢・自衛隊基地・米軍基地だけではない。原発・工業地帯・娯楽施設(サッカー場等)・高速交通網・地下街・水道施設等々を、ミサイルやゲリラ攻撃から守らねばならない。そんなことできるのか。軍事力による日本防衛こそ「絵空事に見える。日本防衛とは、全日本国民の命・財産・生活を守ることだ。食料、エネルギー、部品・製品の輸出入も守らねばなるまい。そんなことできるのか。

 

〇敵基地攻撃能力を保持した場合、敵のどのような動きを見て敵基地を攻撃するのか。当然相手も、我が国のミサイル基地の「ある動きに反応し」行動を起こす。これは、戦争可能性を極めて大きくすると思うが、その辺をどう考えるのか。

 

〇敵基地攻撃能力を保持した場合、軍事的には先制攻撃が有効と判断する場合もある。それをどうやって防ぐか、その誘惑に勝てるか(先制攻撃は、国連憲章違反故)

 

抑止力理論が、敵基地攻撃能力保持の正当性を担保するか?抑止力理論は、相手が理性的行動(「攻撃するとやられるので攻撃しないと判断する」理性)を取ることを前提としている。敵はいつでも理性的行動をとるという確証があるのか。中国が台湾について日米豪等の圧倒的戦力でひるむと思うか?米国の敵基地攻撃能力に日本の敵基地攻撃能力を追加して、それでひるむと思うか。

太平洋戦争時、日本は圧倒的戦力(経済力を含む)の米国に攻撃をかけた。北朝鮮や中国は、戦前日本よりも賢いと思うのか。

 

〇日米その他世界は、北京政府を中国の正統政府と認めている。つまりは、台湾問題は、中国の内政問題と世界の多数は判断するのではないか。台湾有事で、日米等が武力介入するのは、内政干渉にならないのか?ならないなら、その理屈はなんだ。

 

共産党独裁の中国(思い通りに金を軍事費につぎ込むことができる)あるいは14億の人口を擁する中国、今後GDP米国を抜くと言われる中国と軍拡競争して、日本は破綻しないのか。

 

〇今日の日経は、防衛費(敵基地攻撃能力を持つなら「軍事費」というべき)の財源に触れて、国債発行もにおわせている。法人税増税が嫌なのだろう。同紙は、敗戦直前(昭和20年)の債務残高は、GDP200%と言っている。現在がGDP250%の債務なのは周知のことだろう。こんな国が中国との軍拡競争をやっていいのか。できるのか。借金で夜逃げは出来ないぞ。国債の買い手がない→利子率を上げざるを得ない→超インフレとか、国債を日銀が買い続け→日銀の(日本国の)信用低下→投機筋から売り浴びせ→買い続けるしかないなんてシナリオはないのか。他に破たんするシナリオはないのか、社会保障費を確保できるのか、教育費は減らさないのか?消費増税・所得増税はないのか?

 

〇敵基地攻撃能力を保持したい、それが安全なんて絵空事を考えているお花畑連中は、台湾有事の時には、米国を当てにしているのだろう。しかし、米国は、当てにできない。ロシアのウクライナ侵略に対して米国はどう行動したか。武器供与だけじゃないか。己(米国)が中国の一部と認める台湾に、しかも核保有国の中国を相手に、台湾に武力介入などするはずがない。馬鹿な日本が米国の代理戦争をするというシナリオだってあるぞ。このままではその確率が高い。

 

〇敵基地攻撃は、憲法の範囲内とどうしていえるのか?憲法9条をひどく緩く解釈しても、台湾有事は國際紛争じゃないと証明しないといけない。(9条2項「国際紛争を解決する手段としては、という芦田挿入条項に基づき、自衛戦争はokという事で、自衛隊の存在を合憲としている)その証明をせよ。どんな理屈で、台湾と中国の戦争が、日本の自衛と言えるのか。

 

(3)立憲民主党の冠はどうした。立憲とは、「すべては、憲法に基づき」じゃないのか。安倍の集団的自衛権導入手続き及び内容が憲法違反という事から、立憲と冠したのじゃないか。

 

〇立民よ、戦前、戦争に傾斜した時の政財界の合言葉は、「バスに乗り遅れるな」であった。世界恐慌下、台頭するナチス・ファッショが良く見え、日本も「新体制運動」とか言って、軍国主義全体主義のバスに乗り遅れるな、と政界は雪崩を打った。

立民よ、今、自・公・維新・国民民主、日経等のマスコミ、一部有識者は「敵地攻撃能力を持とう」「欧米のように2%を防衛費に」等の合言葉=軍国バスに急いで乗り込んでいる。雪崩を打っている。

 

立民よ、このバスに乗り遅れるな、と焦ってはいけない。そのバスは戦争という地獄ゆきだ。そのバスは、国家経済破綻という地獄ゆきだ。

 

立民が、そのバスに乗ったって、人気なんぞ出ない。なーんだ自公維新とおんなじかとしか見られない。

今でも国民の一定割合は、自衛隊を自衛のためと思っている。日本の安保政策は、専守防衛と思っている。それらを掘り起こし組織すれば、支持率が倍増いや3倍増すると思わないか。

なぜ枝野が立民を発足させたとき、10%以上の支持があったか、筋を通したからだ。立憲主義という筋。自公が捨てた「専守防衛」という旗を拾ったからだ。その旗は、戦後日本の筋なんだ。骨格なんだ。それを思い出せ。

 

立民、バスに乗り遅れろ。いや、そのバスに乗るな。そのバスは地獄ゆきだ。お前らだけが行くのはいい、国民をそれに乗せてはいけない。乗りたくない国民を守れ!乗りたくない国民の前に立て。