現状では、「武装中立」が正しい安保政策と考える(安保条約廃棄)

集団的自衛権の問題が生じるのは、日本が、日米安保条約を結んでいるからである。日米安保条約がなければ、自国が攻撃されていない場合でも、戦争中の米国をどうやって助けるか(集団的自衛権)なんて考える必要がない。

旧安保条約は、1951年サンフランシスコ講和条約と同時に結ばれた。日本の占領終結に当たって、西側陣営に所属することを決定づけたものだった。現安保条約は1960年締結された。この条約で、日本国内の米軍基地への攻撃に対して自衛隊も共同行動をとること、自衛隊の増強義務、米軍の日本を守る義務、日本国内の米軍基地を、米国は極東の安全のため使用することが決められた。

これらの背景になったのは、東西冷戦であった。1951年安保条約を否定する側は、どちらの陣営にも属さず中立が日本の安全に役立つと主張した。1960年の安保改定時でも安保条約を否定する側の主張は、米国の戦争に巻き込まれて日本も戦争をするということであった。賛成する側は、資本主義国家としての日本は西側陣営につくべき、ソ連と言う強大な軍事国家に対して、最強のアメリカと言う軍事国家に守ってもらうのが安全と言うことで、新安保条約を支持した。もちろ正式名称に言うごとく、日米双方の経済を含む友好を進めると言う意味もあった。

その後、東西冷戦は東側の自壊と言うことで消滅した。ソ連は、資本主義ロシアとなった。中国も半資本主義国家となった。

東側陣営がなくなった現時点で安保条約は、廃棄すべきものであったと思う。

安保条約=日米同盟(通称)が戦後日本の安全に寄与した、あるいは発展に役立ったという意見が知識人・マスコミにかなり多いように思われるが、それは正しいか。彼らの理屈はおそらく抑止力があると言うことだと思う。安保条約は抑止力があるかと言うことを考えないといけない。そこでもっと具体的に考えてみよう。

日本の安全を軍事的に脅かすのはどこであろうか。

(1)中国
日中の軍事的対立に発展する可能性のあるものは、現在のところ、尖閣問題と対立を増幅する歴史認識の違いと中国の膨張主義と思う。

初めに歴史認識について。
歴史認識は、ポツダム宣言サンフランシスコ講和条約のライン以外にあり得ない。それを否定することは、米英中露と再び戦争状態に入ると言うことである。ポツダム宣言を受諾して攻撃を止めてもらったのだから。つまり「戦前の日本を外交上では間違いであった、罪を犯した」と認め続けなければならぬ。他国の主権を奪い(韓国併合)他国の領土に兵を派遣した(日中戦争)のであるから、それは常識的に考えて悪いことだろう。
しかも、これは、認め続けた方があきらかにいい。それは中国の膨張主義をけん制することにもなるからである。「君らの言うとおり、中国の領土に日本兵を出したのは間違っていた、ごめん」と言い続ければ、中国も日本領土に兵を出すのは難しくなるだろう。首相や政府要人の靖国参拝は、日本の戦争を起こした犯罪を背負ってもらったA級戦犯を顕彰(言い過ぎと言うなら罪の軽減化)する形になるので、きわめてまずい。米国は日本の軍国主義を進めた原因を詳しく分析している。宗教上では、国家神道が戦争へ日本を導いたと考えてている。その中心が靖国神社とみている。だからこそ、占領後国家神道排除を命令した。こんなことのわからぬ安倍さんは、即刻辞任すべきである。安保の延長上で集団的自衛権行使を言って米国の歓心を買いながら、米国主導の戦後体制を否定するのは、超明らかに矛盾でしょう。

次に、尖閣をめぐって。
尖閣諸島取り合いで、日中が局地的に戦闘行動に入ったとする。米国は現在、安保条約の適用範囲内と言っている。日本が実効支配しているところを適用範囲外と言ったら、安保条約は無意味となるので言うわけがない。つまりこの発言を簡単に信用してはいけない。

私は、米国は、日本側に立って参戦はしないと想像する。その理由は、以下のとおりである。
あ)主権論争には中立=つまり本来どちらのものかは関知しないとたびたび言っている。ある期間尖閣を中国が占領していたら、なんたらかんたら言いながら中国のものと認めるのではないか。い)日中双方にたびたび外交で決着せよ、話し合いで、緊張を増大させるなと言っている。う)中国を自分の対等の2大国と言う扱いをしている。え)尖閣と言う日本の無人島の取り合いで、米国が参戦する利益は考えられない。お)中国の持つ米国債を売るぞと脅されたら日本側に立って参戦するのは不利益。
単純に、アメリカが助けてくれると思うのは甘すぎると思う。

中国の膨張主義について。
中国の膨張主義は確かにある。これまで彼らが騒がなかった尖閣を自国領と主張していること、公海上での自分の利益線の主張、防空識別圏の設定、様々な手を使って利益を拡大している。中越戦争時、南沙諸島での行為など明らかに自国の利益を軍事力で拡大しようとしている。これを日米安保条約で抑止できるか。日米安保条約の適用範囲は極東と言うこと、さらに、尖閣問題で言ったように、米国は自国以外の領域で軍事力で中国に対抗して全面戦争に踏み込むとは考えられないと言う点で米国は中国を戦争覚悟で抑止しないと思う。故に日米安保条約は中国への抑止とならないと判断する。別な抑止力を考えねばならぬ。

2.北朝鮮
北朝鮮金王朝独裁政権である。この国の行動原理は、王朝とその利益共同体の存続が唯一の行動原理である。米韓の軍事力に対して圧倒的に弱いと金政権は知っている。故に戦争を仕掛けるとすれば、金政権が何らかの理由で崩壊する時である。やけくその時である。
その時ソウルをミサイルあるいは戦車であるいは空軍力で奇襲したとしよう。その場合きわめて短期間に米韓からの攻撃で北朝鮮は制圧されよう。
しかし、金政権は、崩壊する寸前やけくそで、核ミサイルとテロで反撃しようとするだろう。核ミサイルとテロを防ぐことはいかなる軍事力を持ってしても不可能と考える。たとえば日本。多くのミサイルが日本を狙えば何発かは撃ち落とすことが不可能だろう。それよりもテロである。少人数のテロ集団の複数の攻撃を防ぐことは不可能である。54基の原発原発ホワイトアウトを思いだそう)、人口密集地の交通機関地下鉄サリン事件を思い出そう)、娯楽施設(多くのテレビドラマを思いだそう)、上水道邪宗門を思い出そう)これらすべてを守れると考える人は頭がおかしい。北朝鮮もそこまではしないだろうと考える人は、北朝鮮の理性を信じているのである。北朝鮮の理性を信じているのであれば、軍事力による抑止力と違う別な手を考えるべきである。(中国についても中国はテロはしない、民間人を殺す原爆は使用しないと考える人は、中国の理性を信じているのであり、中国の膨張主義を認識しつつも、膨張を軍事力による抑止以外の方出抑止すること考えるべきである)

以上は、安保条約の抑止力は日本国民の安全を担保しないと言うことを述べた。

一方、日米安保条約は、日本国内の米軍基地への攻撃に対して米軍と一緒に戦うことを決めているので、米国の戦争に巻き込まれる。
もちろん集団的自衛権は、日本が攻撃されていないのに戦う米国を何らかの形で支援する故、つまり米国の敵国にとって日本も敵国となるので攻撃され、それに応戦することとなり、これまた米国の戦争に巻き込まれる。その可能性を高める。

結論、日米安保条約に抑止力はなく、戦争に巻き込まれるという不利益のみである。故に安保条約は廃棄して、近辺で戦争が始まれば
中立宣言をするのが日本の利益にかない、日本国民の生命財産を守ることである。現状では、自衛隊の戦力があり、自国が侵略された場合自衛隊の戦力で戦うと言う一応の国民的合意があるので、武装中立が正しいと考える。ただし、全国民は、自分の命・財産を自衛隊員の命で守ってもらうと言うとてもひどいことを自衛隊員に要求するので、全力で自国も攻められないよう行動すべきである。それは全世界に貢献する素晴らしい国になることである。

これは当面の安保政策である。目標は、現憲法の理想=非武装中立・集団安全保障方式・国際機関調停方式・外交での処理・全ての面での交流・依存関係の構築・全世界に貢献するあるいは手本となる素晴らしい国作りが正しい安保政策と考えている。