近頃の安保法制の気分の悪さから気分直しに、寅さんの名作でも見るか、と言うことで
寅映画を見た。山田監督が、聴かれて渋々答えた、監督の一番好きな映画「相合傘」。私が一番好きなのは、最後の「紅の花」次が「口笛を吹く寅次郎」その次は「柴又より愛をこめて」その次が「殿さま」、その次が・・・、そんなことどうでもいいな。
以下ひどいネタばれ、注意。
さくらは、寅次郎とリリーが好き合っている様子を見て、リリーに頼む。「あのね、ほんの冗談として聞いてね。・・・」と言いながら、なかなか言い出せない。リリーやおばちゃんにせがまれて、とうとう言う。
「本気にしないでね。・・・リリーさんが、お兄ちゃんの御嫁さんになってくれたらうれしいな」これに対して、リリー、あっさり言う。「いいわよ。」さくらも博もおじちゃんもおばちゃんも喜ぶ。そこへ、寅次郎が帰ってくる。・・・さあ大変だ。
さくらがリリーの結婚承諾を寅次郎に言うと、寅次郎は、「リリー、冗談なんだろ。」・・・リリーも・・・「冗談よ。」
寅次郎もリリーも結婚できたらいいなと思っている。周りもそう思っている。リリーは本気で結婚したいと思った。しかし、寅次郎は、リリーの「結婚したい」と言う意思を冗談にしてしまって、やんわり拒否する。
ここに私は、寅次郎の誠実さと優しさを感じる。(そして弱さと哀しみも)
冗談にするところにやさしさを、拒否するところに誠実さを私は、感じる。
寅次郎はいう。「リリーは、気が強くて頭がいい女よ。俺みたいな男じゃだめだ」「リリーも俺も根なし草よ。今は羽を休めているだけよ。」
寅次郎は、安定した仕事を持っていない。だから彼は、好きな相手との結婚も、たとえ相手に好かれていても、出来ないと自覚している。これは、誠実さなんだと思う。
本当を冗談にする、これが優しさと誠実さと弱さと哀しさを表す。いいねえ。うまいよ、山田監督。
嘘と冗談は大いに違う。本当を誤魔化すのが嘘で、本当を誤魔化さないのが冗談だ。冗談の場合、皆ホントのことを知っている。冗談は笑い飛ばせる。嘘は笑い飛ばせない。
安倍安保法制は、本当(戦争法)を誤魔化す嘘(平和法)で、それを隠すため尚嘘を重ねる。そこには、誠実さも優しさもない。
安倍氏の新安保法制の提案は、「いやー実は、冗談でした。国民の皆さん、憲法と安保条約と戦争の経験と先人の努力で、戦争なんて起きないと平和ボケしてるので、少し脅かしました。今まで通りやりますよ。」そうなってほしい。
冗談だろ、安倍さん。まさか本気かい?悪い冗談でしょ?まさか本気じゃないでしょうね。面白い冗談でしたと、笑い飛ばそうよ。
あれー、どうも脳みそが混乱してきたぞ。本当も嘘も冗談もわからなくなった。馬鹿だな俺は。