心騒ぐ春

とうとうわが町でも桜が咲きました。今朝、お城跡に行ってみましたら、ごくちらほらですが、桜の花が咲いておりました。

これから、満開に向けて、そして散っていくまで、心が騒ぐことでしょう。
古人も歌ってます。「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」

ちょっと前の朝日新聞に、少し気になる文章がありました。こんな趣旨であったと記憶しています。
「日本人が桜を好きな理由の一つに、みんな揃って咲く美しさがあるのじゃないか。一つの桜花より一本の木全体、一本の木より全山の桜の揃い咲きが美しいと思うところが、日本人の同調性が好きなところと一致するのじゃないか」という意味の文章だったと思います。

そうかもなあ、とぼんやり思ったことでした。

「貴様と俺とは同期の桜、同じ国体の庭に咲く、咲いた花なら散るのが定め、見事散りましょ。国のため」という軍歌「同期の桜」も思い出されます。

しかし、桜花一つ一つが美しいし、それぞれに個性があります。
それこそ、トップに咲く気の早い花もありますし、蕾のままなかなか咲かない花もあります。木のそれぞれも、それぞれ思い思いに枝を伸ばしています。同じソメイヨシノでも土と環境により違うでしょう。

一方また、桜同様、どんな花も一つ一つが美しいし、群生もまた美しいのも事実です。


なぜ日本人は桜を愛でるのでしょうか。一斉に散るように見えるからなのでしょうか。そこに無常感を感じるからなのでしょうか。確かに風の中、滝のように散る桜の姿は美しいと思います。そこを、あの軍歌は歌っているのでしょうね。

しかしいつもいつも思うのですが、強い風の中でも、咲いたばかりの桜は、散りません。散る時が来なければ散りません。「国体の庭」に咲いた、「同期の桜」の若者たちは、まだ散る時ではありませんでした。死ぬ時期ではなかったのでした。まだ十分に咲いてもいなかったといえると思います。実を着けることもなかったのではないでしょうか。

「一旦緩急あれば義勇公に奉じた」(教育勅語)若者は、「咲かずに人生の実もつけずに」散らされたのでした。国家の起こした戦争という強風に無理やり散らされたのでした。

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日本全国に桜情報が飛び交い、桜の下では、酔客が楽しく騒いでいることでしょう。桜のトンネルの下をそぞろ歩く姿も各地で見られるでしょう。

平和な風景です。

しかしこの春、朝鮮半島では緊張が高まっています。北朝鮮が米韓軍事演習に対抗して、ミサイルを発射し、核開発を進めています。テレビでは、トランプ政権が先制攻撃する可能性もあるなどと物騒なことを言う専門家もいます。

私は、外交や軍事に専門的知識はありません。素人考えで想像しますと、とても怖くなります。それこそ、桜の花に心騒がせている場合ではないのかもしれません。

「中国が問題を解決しないなら我々がやる」「すべての選択肢がテーブルの上にある」とトランプは言ったそうです。この武力攻撃の示唆は、中国への「北朝鮮を抑える行動をとれ」という脅しに近い要求だとは思うのですけど。またテレビでは、金ジョンウンの斬首作戦(殺害作戦)とか、亡命作戦なんてことも言っています。

金個人の殺害とか金を亡命させるとか、できるのでしょうか。想像ですが、難しそうです。

米中会談では、どのような話をするのでしょうか。このまま北朝鮮がミサイルや核開発を続けると、直接攻撃の脅威に直面する米側は、軍事作戦の可否を探る可能性は、ありそうです。中国には、米単独で動くなら許さないぞ、という姿勢を見せて米国にブレーキをかけてもらいたいです。北朝鮮も含めてすべての国家が、米韓(日)対北朝鮮(中)なんて望んでないし、どの国にとっても損は明白なのですから。

アメリカが、斬首作戦でも亡命作戦でも軍事作戦でもやれば、北の混乱はひどいことになるでしょう。一番混乱の少なそうな亡命作戦が成功しても、米中の介入による混乱は、避けられません。斬首作戦や軍事行動は、もっと怖いです。金の最後っ屁が怖いです。

この事態を考えますと、やはり安保条約は、危険な条約です。

トランプが北の核開発を抑えようとして、核施設に限定して、B52爆撃機を嘉手納から発進したとします。対抗して、北朝鮮は、日本にある米軍基地をノドンで攻撃します。こうなれば安保条約に従って日本も参戦することになります。北朝鮮は、すぐに崩壊するでしょうけど、金は最後っ屁として何をするかわかりません。ありったけのミサイルを日本に打ち込むかもしれません。これは専門家も認めるように、すべて撃ち落とすことは不可能です。テロ集団による化学兵器使用は当然考えられますね。拉致事件でわかったように、どこからでも彼らは、日本に上陸できます。

それにしても、一昨年安倍政権が成立させた安保法制は、危険な安全保障体制と思います。

以前の武力攻撃事態法は、日本が攻撃された場合のみ日本が武力で反撃するものでしたが、一昨年の改正で、日本が攻撃されていなくとも、北朝鮮が米国を攻撃したら、日本も一緒に反撃できるという集団的自衛権を認めたからです。

勿論日本の存立が脅かされるとか日本国民の生命などが根底から覆される場合等の限定条件は、付いていますけれども。その判断は、政府がするのですから、危険です。

安保法制により、日本が攻撃されていなくとも、米軍と一緒に戦うことができることになりました。トランプと昵懇な安倍さんは断れるのでしょうか。、何、限定条件なんて、解釈次第です。何十年も変わらなかった憲法解釈を簡単に変えたのですから、ちょろいものですよ。

これまでは、自分の国を攻撃されて時しか参戦できないと断れたのですが、安保法制で断りにくなりました。ばかな法を成立させたものです。

安保法制は、戦うためではなく、相手を抑止するためだというのが、安保法制賛成派の意見でした。日本が米国と一緒に戦うぞ、ということになって北朝鮮を抑止しているでしょうか?どうもそうは見えません。

心騒ぐ春となってしまいました。

北朝鮮政策で、私がいいと思うのは、北朝鮮政府の存立を認める(停戦協定を平和条約にする)代わりに、核開発・ミサイル開発をやめさせることです。韓国も現時点で本心では、朝鮮統一を望んでないはずです。日本は、米国と安保条約・安保法制・軍事・外交連携で結ばれてますので、そんな提案(北朝鮮の存在を認める)はしにくいです。米国の言いなりになるしかありません。それでも、言えるなら言ってほしいと思います。

やはり核兵器は違法として、核兵器禁止条約を成立させる先頭に日本は立つべきでした。安倍政権は、間違ってます。安保条約下では無理なら、安保条約を廃棄すべきです。

日米安保条約や安保法制や軍事外交連携がなければ、日本は、北と米国との橋渡しができたでしょう。その方が安全だったと思います。

現時点で、米国が先制攻撃するのは、国際法違反です。国連憲章では、自国が侵略された場合、安保理が侵略に対して行動を起こす前に限って、個別的・集団的自衛権行使を認めています。これで考えますと、米国の北朝鮮先制攻撃は、国際法違反です。それをだめだと今の日本政府は言えません。国際法違反をすれば、相手の国際法違反も認めることとなります。例えば、日本の原発への攻撃、一般人へのテロ、ソウルへの無差別砲撃などです。

日本は、安保条約を廃棄して、武装中立自衛隊による個別的自衛権行使)から、国際法中心・集団安全保障体制・国連軍創設・地域的集団安全保障・日本の非武装を目指すべきと思います。そのほか軍事力以外の戦争抑止の方法は、様々あり、それを研究・追求すべきです。