自公政府は、3月26日の閣議で、武器輸出の運用指針を見直し、英伊両国と共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出を認めた。
私は、これに反対する。その理由は以下の通りである。
⓵国家そして国民にも誇りが必要である。戦後日本国の、そして日本国民の誇りは、
「平和国家」であった。(かつては、経済大国も誇りだった)平和国家とは、国家間の紛争を武力で解決しない国家という事である。
そのために自民党政権下でも軍事大国化に歯止めを設けた。
文民統制・非核三原則・防衛費はGDP1%以内、自衛隊の海外派遣禁止、武器輸出禁止等である。これは与野党を通じた合意、すなわち国是即ち国民の誇りであったと言える。
なぜ過去形か。自民党(と同党を選んできた国民)が、崩してきたからである。
武器輸出に限って言うと、1976年の三木内閣時には、武器輸出が事実上の禁止であったのだが、徐々に武器輸出をOKとしてきた。大きな転換点は、武器輸出を原則禁止から原則OKにした安倍内閣の「防衛装備移転3原則」(2014年)である。現岸田政権下では、米国へのミサイル輸出を承認している。私はミサイル輸出にも反対だが、戦闘機輸出となると、なお反対である。戦闘機は、殺傷兵器の典型だからである。
映画「禁じられた遊び」の冒頭を見よ。人殺しの兵器である。
歌「フレデイ」の最後を紹介する。長いから途中からがいい。(これホントは、さだまさし「フレデイ若しくは三教街」、さだは、自分の祖母の中国での体験から想像して作ったらしい)
私は、日本が平和国家であってほしいと思っている。日本国民が平和国家を選択してほしいと思っている。だから選挙では自公・維新政党は選んでほしくないと思っている。
武器輸出は全面禁止が良いと思っている。たとえそれで必要な武器の購入高くなってもだ。それで、軍需技術関係の民生用製品への移転で後れを取ってもだ。我が国は、自国が攻撃された場合だけ武器を使用する。他国の戦争を助長する武器は輸出しない。自国が作った武器で他国の人が殺されるのは嫌だ。それが誇りというものだろう。
②日本の戦後の「平和国家」理念は、世界が認めた日本の稀有なブランドであった。
それを手放すのは大バカである。
ブログ知人canngaelさんのブログで知ったBBCnews (World)を見よ。
BBCのニュース (世界) @BBCWorld ·3月26日Japan to sell fighter jets in latest break from post-war pacifist ideals
「能登の被災地」「閣議決定で決まる次期戦闘機の輸出解禁」「東京都議会の記事録削除」「23日ひめゆり学徒動員、26日座間味米軍上陸」「森友問題」「紅麹と万博?」など - 四丁目でCan蛙~日々是好日~
日本は戦後の平和主義を決定的(あるいは最終的)に破壊して戦闘機を売ることになった
とBBCは言っている、と私は感じた。
latestは、「最近の」「最後の」とかの意味があり、Breakは、休憩と休息とかの意味だろう。だから「最新の決定。日本は戦後平和主義からお休みして・・・」、なんて意味かな。
けれど、私の印象としては、Breakのもともとの意味、破壊という感じを受けた。
私は、310万人の日本人戦争死没者、2000万以上のアジアの戦争被害者に魂があれば、そして戦後平和主義を守ってきた国民(非武装中立や武装中立・専守防衛や、武装同盟・専守防衛の考えの人々)の多く(すでに死没者の方が多いだろう)は、こう解釈すると思うのだ。「戦闘機輸出なんぞ、戦後平和主義の決定的破壊だ」と。
BBCは、欧米の代表的メデイアである。欧米では、日本の戦後が「平和国家」とみていたのである。戦闘機輸出は、それからの(少なくとも脱却)だとみているのである。
第二次世界大戦を引き起こした(他国を侵略した)ドイツと日本の、戦後の行き方はだいぶ違う。
ドイツはナチスの非人道的行為を厳しく反省し、ナチスから完全に脱却した。
日本は、天皇制存置や戦犯容疑者岸信介が復権したように(それは米国の後押し)、戦前の軍国主義の残滓がある、危険な国家とみられるかもしれない。
いやそうでないと世界に表明し、保証したものが平和主義である。
つまりは、平和国家日本は、戦後世界に生きる日本のよすがなのである。それをどんどん壊していったのが、自民党政治であった。よすががない日本国および日本国民は、
漂流する。
そしてこの戦後の平和国家ブランドは、海外で活躍する人々の支えであった。
「いま、きな臭い世界情勢、一見勇ましい論調が横行し、軍事力行使をも容認しかねない風潮を眺めるにつけ、言葉を失う。平和を願う声もかすれがちである。しかし、アフガニスタンの実体験において、確信できることがある。武力によってこの身が守られることはなかった。防備は必ずしも武器によらない。 「1992年、ダラエヌール診療所が襲撃された時、「死んでも撃ち返すな」と、報復の応戦を引きとめたことで信頼の絆を得、後々まで私たちと事業を守った。現在力を注ぐ農村部の建設現場は、常に危険地帯に指定されてきた場所である。しかし、路上を除けば、これほど安全な場所はない。私たちPMS(平和医療団・日本)の安全保障は、住民たちとの信頼関係である。こちらが本当の友人だと認識されれば、地元住民が保護を惜しまない。」 「信頼は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切らない誠実さこそが人の心に触れる。それは、武力以上に強固な安全保障を提供してくれ、人々を動かすことが出来る。私たちにとって、平和とは理念でなく現実の力なのである」
「武力によってこの身が守られることはなかった」−「天、共にあり」を読んで - A0153’s diary
これは、2013年発行の中村哲「天、共にあり」の一節である。平和ブランドが彼の行動の支えであった。
その彼が2019年どうして殺害されたか、真相はわからない。
彼は、2005年「憲法を変えて戦争に行こうという世の中にしないための18人の発言」という岩波ブックレットの中でこう言っている。
「中東においては、…戦後復興を遂げたアジアの国として、日本は一種のあこがれの対象でした。・・羽振りのいい国はたいてい戦争をするものだけれども、半世紀にわたり、他国に戦争を仕掛けなかった国、平和の国・日本として親近感を持たれてきました。
つまり、実際に戦争をしない国・日本の人間である、日本人である、という事に守られて仕事ができたというのが数限りなくあったのです」(P8)
「今日本の評価は中東で、アメリカに原爆を落とされた気の毒な、しかし努力して復興した国」から「アメリカの同盟国(軍)へと変化しつつあります。いずれ、他の同盟国と同じ運命をたどることでしょう。
まだ今は、日本に憧れ、尊敬してくれた世代が社会の中堅にいますが、この次の世代からは、もう日本の見方は変わります。恐らくアメリカと同様に攻撃の対象となるのでないか、と思わざるを得ません」(p10)
中東でも、戦後日本の価値は、平和国家というブランドだった。
中村哲氏の死亡が、日本政府の軍国主義への傾斜の直接の影響とは言えないと思うが、少なくともこう言えると思う。
もし中東の戦争で、英・伊・日共同開発の戦闘機で死者が出たら、もう日本の平和ブランドは全くなくなる。恨まれる国家・国民になる。
稀有な、大事な日本の平和ブランドを手放すはよそう。戦闘機輸出絶対反対。
③英伊と共同開発を担うのが三菱重工であることに笑った。三菱重工は、私も大いに期待していた国産民間ジェット機の製造を断念した。作れなかったのである。民間ジェット機をまともに作れない会社が、最先端の戦闘機づくりに力を発揮できると思えない。ろくな役割しかもらえないだろう。英伊は、日本政府が出す年1000億円が欲しいのだろう。そして自分たちが開発する戦闘機の売り込み先として日本を確保できるので共同開発という餌をくれたのだろう。つまり利用されているんだ。戦闘機共同開発は、日本政府による三菱重工の救済策なんじゃないかと憶測する。例のGDP2倍増も軍需関連会社への援助じゃないか。2020年の三菱重工の自民党への政治献金は、3300万(6位)(wiki)である。パーテイ券いくら買ったか?多分いっぱい買ってるだろう(想像)
④戦闘機が必要なら買えばいい。高くてもなっても良い。百歩譲って共同開発しても、輸出は認めないとすれば、筋が通る。それで損があるとしても、この損得は小さな損得だ。「損しても、日本は戦後の平和主義を守ろうとしている」と思ってもらえるのは、極めて大きな得である。
ここで疑問が起きる。次期戦闘機を共同開発の戦闘機にすれば、米国からの戦闘機は一機も買わなくてよいのかどうか、である。米国がそれでOKとなるかどうかである。一機も買わなくてよいというなら多少の意味はあるかもしれない。しかし、これは小さな意味でしかないけどね。大きな意味を認めたら米国の横やりがあったかもね。
この辺は、国会審議で、野党の質問に期待する。またはマスコミの真実追及の力に期待する。
政府は専守防衛のための性格の戦闘機を造りたい、そのための共同開発なんていうが、詭弁である。戦闘機の性能に大差があると思えない。政府の言う歯止めはもっと詭弁である。
⓹共同開発の戦闘機を輸出というけど、日本から買う国ってあるんだろうか。売った方はその後のメンテナンスも引き受ける。日本には戦闘機の製造・輸出・アフターの経験がない。買わないだろう、どこも。まあそれでいいけど。輸出の実利はない。
という事で、今日は新しくプラカードを造った。これを持って地元のスタンデイングに参加する。
嘘ではない。私は良く間違うが、嘘はつかない。久しぶりに、「私は」、と入れてみた。輸出(に)、が欲しかったな。